高齢になった親のことや自分の終活を考えると、お墓がない家庭にとってお墓をどうするかが心配ごとの1つです。お墓にはどんな種類があって管理はどうなるのかなど、色々と気になってきている方もいるのではないでしょうか?
そこで今回はお墓の基本知識として、その種類や特徴、メリット・デメリットなどをご紹介しますので、ぜひ将来の参考にしてください。
お墓の種類はどんなものがあるのか
ひと口にお墓といっても様々なタイプが存在します。
従来の先祖代々のお墓のほかにひとりだけではいるお墓、後継者がいなくて一代限りでも問題がないお墓や夫婦ではいるお墓、さらにはお墓を持たずに供養する方法も増えています。
ここではお墓の種類の主なものを、埋葬される人と埋葬する場所の2つの側面からご紹介します。
埋葬される人によって変わるお墓の呼び名
一般的にお墓といえば、一族全員が埋葬されるいわゆる先祖代々のお墓を思い浮かべるでしょう。
ところが、昨今では必ずしも一族が入るものでもなくなってきているようです。ここでは、埋葬される人によって異なるお墓の種類をご紹介します。
- 家墓/累代墓
最もポピュラーなものは「家墓(いえはか)」あるいは「累代墓(るいだいぼ)」と呼ばれるものです。
本家の人たちが全て埋葬され、親から子へ、子から孫に引き継がれるものです。
墓石には何々家の墓、何々家先祖代々の墓などが刻まれていることが多く見受けられます。
墓石の側面には納骨された故人様の、法名や戒名などが刻まれます。 - 両家墓
「両家墓」は、家墓と違って、別の姓の親族も一緒に埋葬する墓です。跡継ぎが女性しかいないと、嫁ぐと本家を継ぐものがいなくなるので、そういう場合に選ばれます。 - 個人墓
「個人墓」は一人だけで埋葬されます。
どちらかといえば、有名人などに多い形式です。昔はその故人様の生前の功績を刻む四角い墓石がほとんどでした。
現代では自由な発想で様々な形状の墓石を用意して、好きな言葉を刻むことが増えています。
家墓と同じ区画内に立てることもありますが、まったく違う区画に建てることもあります。
最近では納骨堂などが普及し、手軽に個人用のお墓を持てるようになりました。 - 夫婦墓
「夫婦墓」は一族とは別にだけで埋葬されるお墓です。
個人墓と同じように、家墓と同じ区画内にもたてる場合と、別の区画に建てる場合があります。 - 共同墓
「共同墓」は、家族ではなく同じ信仰や志向を持つ人たちが一緒に埋葬されるお墓です。教会墓地や寺院の檀徒専用の墓地などです。共同墓地とも呼ばれます。
仲の良い友達同士の共同墓を持つケースの増加を背景に「墓友」という言葉がここ最近聞かれるようになりました。
こうした共同墓地は独居老人同士や老人ホームなどで用意することもあります。
ただし、霊園の規則によっては、同一の姓や三親等以内などの規定があるケースも見られるので、建てる前に使用規則の確認が必要となります。
埋葬する場所によって変わるお墓の呼び名
埋葬する場所によるお墓の種類で主だったものとしては「寺院墓地」「民営霊園」「公営霊園」があります。
ぞれぞれ「寺院墓地」はお寺の敷地内にある集合墓地、「民営霊園」は宗教法人や会社法人が運営する集合墓地、「公営霊園」とは、都道府県や市町村などの地方自治体が運営する集合墓地のことです。
他には墓石を使ったお墓を持たない納骨堂があります。
「寺院墓地」の特徴とは
お寺が運営する寺院墓地を例に、もう少し詳しく説明します。
寺院墓地はその宗旨宗派の檀家であることが基本です。すなわち利用者が、檀徒であることが条件となります。
檀徒にはお寺を経済的に支える役目があります。
お寺の行事や活動に参加したり、寄付やお布施をしたりする必要があります。
ただし、ここ最近では生前の宗教は問わない寺院墓地も増えてきています。
寺院墓地のメリットとデメリット
寺院墓地のメリットは、宗教の専門家であるお寺の人たちが世話をしてくれるので、安心できるという点です。
ご住職がいるので、お墓以外に関する法事などの相談にも乗ってもらえます。
デメリットとしては多くの寺院墓地は、宗教的制約や檀家になる条件があることです。管理費も公営霊園よりは高めとなります。
「民間霊園」「公園霊園」の特徴と違い
民間の法人が経営するお墓である民営霊園と、自治体が運営する公営霊園について、それぞれ詳しくご紹介します。
民間経営のお墓「民営霊園」
民営霊園は、宗教法人や企業が運営する霊園です。
石材店などが出資して作られる場合も多く見られます。指定の管理会社が管理を担当する場合が多く、宗教の制約はほとんどありません。
民営霊園のメリットとデメリット
メリットとしてはやはり民営なのでサービスの充実が大きいです。
休憩所や売店なども充実しており、バリアフリーなど使いやすい設備になっていることが多いです。また、お墓のデザインも自由度が高くさまざまなデザインで建てることができます。
デメリットとしては、お寺と違い宗教者が管理しているわけではないので宗教的な相談や仏事の相談はできないことがあります。
また、ほとんどの民間霊園は、石材店が工事や管理といった実務を行っています。そのため墓石工事などは指定石材店に依頼しなければなりません。
自治体が運営する「公営霊園」
公営霊園には宗教的な制約は一切ありませんが、お墓を建てる人がその自治体に住んでいることが必要です。
管理費も比較的安く、希望者が多くて抽選を行われる場合が多いです。
都市部では抽選の倍率も高くなり、何度応募しても当たらない場合もあります。
公営霊園のメリットとデメリット
メリットはやはり宗教不問であることや、檀家になる必要がないことです。また管理費や永代使用料はどちらかといえば安い傾向にあります。
デメリットとしては、随時募集していない公営霊園は、倍率が高い抽選に受からないと利用することができず、また、区画の抽選となるため、抽選に受かっても希望の区画が利用できるわけではありません。
さらに、その自治体に住んでいないと応募もできません。
その他、基本的に宗教者の手配が必要な時は自分で行わなければならない、法要設備がないなど設備が整ってないところが多い点もデメリットとしてあげられます。
納骨堂の種類について
「納骨堂」は故人様の遺骨を建物の中にある納骨スペースに安置します。
室内なので雨ざらしになることもなく、お墓参りもしやすいといえるでしょう。
1区画に納める人数別に、1人向け・夫婦向け・家族向けなどがあります。
納骨堂は、お墓を建てるよりもずっと費用が安い上に都心部でも持てるので、最近人気を集めています。
タイプとしてはロッカー式・位牌式・棚式・仏壇式・マンション式などがあります。
ロッカー式の納骨堂
ロッカー式納骨堂は、同じサイズの区画に棚が仕切られていて、そこに納骨します。
その名の通り、まるでコインロッカーに骨壷を納めるような形です。
マンション式の納骨堂
マンション式は、元々は自動搬送式納骨堂といいます。
その見た目から一般的にマンションタイプと呼ばれることが多いのです。
参拝者にはICカードが配られて、参拝ブースのセンサーにかざすと、故人様の遺骨が入った骨壺が自動的に搬送されてきます。
棚式の納骨堂
棚式の納骨堂は、ロッカー式のような区切りはなく、数段ある棚に故人様の遺骨の骨壺を並べていくやり方です。
位牌式納骨堂
位牌式は、位牌の下部に設置されてある納骨スペースに遺骨を納めます。粉骨が必要な場合も見受けられます。
仏壇式納骨堂
仏壇式の納骨堂は、屋内にお仏壇が並べられてあって、それぞれを1つの家で持つことになります。
お仏壇の下部が納骨のスペースになっています。
納骨堂のメリットとデメリット
納骨堂のメリットは、お墓を立てるよりも費用が安く済みます。
また、お墓の跡継ぎがいなくても申し込みができ、多くの場合永代供養をしてもらえます。
さらに、屋内型なので天候気候を問わずにお参りができます。
デメリットとしては、個別安置に期限が設けられていて、納骨から17年や33年など一定の期間を得ると、合祀されることが多くあります。
合祀までの期間で金額が大きく変わることもありますので、何年間個別安置してもらえるのかなどの確認が必要です。
お墓に納めない供養のかたちとは?
時代の流れや人々の価値観の変化に伴い、遺骨の供養方法の選択肢が増えてきています。
少し詳しく見ていきましょう。
樹木を墓標とする「樹木葬」
樹木葬は木を墓標にして、その下に遺骨を埋葬する供養の方法です。
遺骨単位で植樹する場合もあれば、樹木のまわりに複数の遺骨を合祀する場合もあります。
その場合も、お墓を建てるよりも費用は安く済みます。但し、樹木葬の場合、納骨後は遺骨の取り出しが出来ないことが多くあります。
その場合、お墓を後日別に移したりすることができませんので注意が必要です。
また、樹木葬の方法としてさらに2種類に分類されます。
遺骨が「自然に還る形式」と「自然に還らない形式」です。
2種類の樹木葬
自然に還る形式は、土に還る骨袋を使用して納骨する、直接土に遺骨を埋めるかします。
ただし、法律的に遺骨を埋めてよいのは「墓地」と認定された場所に限られます。
遺骨が残る形式は、骨壺やそれ専用の容器を使用して埋葬します。
この形式においては、一定期間供養された後に、合祀されるのがほとんどです。
大自然に遺骨を撒く「散骨」
近年少しずつ希望者が増えている散骨は、海や川や山などに遺骨をまく供養の方法です。
全てを散骨するのではなく、一部を手元供養したりお墓に御安置したりも可能で、現代ではいろいろなパターンの散骨があります。
ただし、散骨はまだごく少数派の埋葬方法のため、希望する場合は家族や親族の理解が重要です。
後々にトラブルにならないように、事前に相談をしておいた方がよいでしょう。
散骨の方法あれこれ
海洋散骨は日本で行われる散骨の中では最も多く行われており、遺灰を海にまく供養の方法です。
海洋散骨には以下の3パターンがあります。
「委託散骨」は業者に遺灰を託して散骨してもらう、最も安価な方法です。
「合同散骨」は複数の遺族が同じ船で一緒に散骨します。費用も10万円くらいからできます。
「個人散骨」は1組だけで船をチャーターして、思い通りにゆっくりと散骨できます。費用目安あは25万円くらいです。
「山林散骨」は、自己所有または所有者の許可を得ている山林に遺灰を散骨します。
公有の山林ではできません。また、民間業者に依頼して、業者が所有する山林で行うことができます。
「空中散骨」はヘリコプターやセスナ機で上空から海に散骨します。
「宇宙散骨」は希少な方法です。遺灰を専用カプセルに入れ、人工衛星用のロケットや成層圏まで達する気球で打ち上げ、カプセルを離脱させる方法です。カプセルは地球を数周回った後に、流れ星のように燃え尽きます。
まとめ
お墓の様々な種類や特徴、費用、メリットやデメリットについて詳しくご紹介しました。
色々な供養の方法があって驚かれたのではないでしょうか。
ご自身の家庭の事情や立地的なものを考えて、総合的に満足が出来るお墓をお選びいただけたらと思います。