- 葬儀
家族葬が選ばれる理由と注意点。人気の最旬スタイルとは?
/(株)くらしの友 儀典本部
2004年くらしの友入社、厚⽣労働省認定の技能審査制度「葬祭ディレクター」1級取得。
故人様とご遺族に寄り添い、大規模な社葬から家族葬まで、これまで1,000件以上の葬儀に携わる。
家族や親族、親しい友人・知人を中心に、小規模に行う「家族葬」を選ぶ方が、年々増加しています。
この記事では、初めてでもよくわかる、家族葬について詳しく解説しています。
この記事で分かること
- 家族葬とはどのような葬儀か?
- 家族葬の費用の相場
- 家族葬がおすすめな人はどのような人か?
目次
1 家族葬とは?
家族葬とは、家族や親族、親しい友人・知人を中心に、小規模に行う葬儀のことです。
家族葬にハッキリとした定義はありませんが、お通夜と葬儀・告別式の2日間で完結する葬儀で、
参列人数は1~30名程度。一般的な葬儀と同様、僧侶をお呼びすることが多いです。
稀に、家族葬≒密葬をイメージする方がいるようですが、家族葬と密葬では、葬儀形式は異なります。
親族だけでひっそりと行う葬儀が「密葬」であって、密葬では後日「本葬」を行うのが一般的です。
ここでは、なぜ家族葬を選ぶ方が増えているのか、家族葬と一般葬との違いや家族葬の費用の相場、どのような条件において家族葬が向いているのかを、注意点とともにご紹介します。
1-1 家族葬が選ばれる理由
家族葬が選ばれるようになった一番の理由は、時代の流れに伴う価値観の変化です。
隣近所や親類縁者といった地縁・血縁の希薄化や、高齢化が進み、葬儀に参列してもらうのが難しくなったこと、何より形式にこだわらない価値観が尊重されるようになったことが関係しています。
他にも、生前、故人と深い関わりのあった人たちだけで、最後の時間をゆっくり過ごせることや、人数が限られている分、葬儀にかかる手間や費用が削減できるという理由を挙げる方もいます。
また、気心が知れた近親者による葬儀になるため、一般葬とは異なり、形式にとらわれることなく、故人や遺族の想いが反映した、希望の葬儀が実現しやすいというメリットもあります。
1-2 一般葬との違い
一般葬とは、故人と遺族ともご縁のある、幅広い方々をお呼びする葬儀になります。
親族はじめご近所の方や仕事関係の方、プライベートで親交があった方をはじめ、遺族の友人や職場の方など、面識がない方も参列される葬儀になります。
近親者だけでお別れをする家族葬に比べ、一般葬は会社関係者や近隣の方などが参列される分、しきたりが重視されるため、お料理や会葬返礼品等で参列者をおもてなしし、故人に代わって感謝をお伝えする機会になります。
参列者が多ければ、その分、遺族はご挨拶などに対応する時間は増えますし、当日になって参列者の人数が予想と異なった場合は、お料理や会葬返礼品の増減が必要になる可能性もあります。
1-3 家族葬の費用の相場
家族葬にしたからといって、一般葬に比べて大幅に費用が下がるわけではありません。
葬儀費用は大まかに、
- ・葬儀費用
- ・おもてなし費用(接待費)
- ・宗教者への謝礼
の3つの費用に分けられ、このうちに家族葬で軽減できるのは、「おもてなし費用(接待費)」のみです。
家族葬の場合、香典による収入があまり見込めないため、費用の大半を喪主が負担することになります。ただし、参列者の人数はあらかじめ把握できるので、費用の目安は付きやすいでしょう。
葬儀の総費用と会葬者数の関係(別表参照)をみると、葬儀の総費用は会葬者人数に比例して高くなります。しかし、会葬者1人当たりの単価は、会葬者数が少ないほど高くなっています。
「葬儀費用を安く抑えよう」と、参列者を少なくして葬儀を小規模にする例もありますが、香典で葬儀費用の一部を補填できることを考えると、葬儀を小規模にすることが喪主の負担を減らすことに必ずしも結びつかないので、その点は注意が必要です。
1-4 家族葬はこんな方にオススメ
それぞれの葬儀形式によって、その良さは異なるため一概には言えませんが、家族葬を選択した遺族の中で、最も多い理由をピックアップしてみました。
家族葬を選ぶ理由
- ・生前、故人が家族葬を望み、遺族も同意できた場合
- ・故人との最期の時間を近親者のみでゆっくり過ごしたい場合
- ・予算をかけずに精一杯の気持ちで見送りたい場合
- ・世間体やしきたりよりも、"故人(遺族)らしい"葬儀を重視したい場合
葬儀において何を重視するか、ぜひこの機会に一度、ご自身、あるいはご家族で考える機会を持っておくと良いでしょう。
1-5 家族葬の注意点
次にここでは、家族葬を行う上での注意点をまとめました。
家族葬を行う上での注意点
- ・訃報を知った方が、お花や香典を送ってきたり、後日、自宅にお参りにきたりする。
- ・家族、親族の理解が得られぬまま家族葬を行ってしまい、家族間でひずみが生じる。
- ・参列者が少なく感じたり、会場が広く感じたりして寂しい葬儀になってしまう。
- ・香典が少ないことで、一般葬よりも多く費用を負担する可能性がある。
本来、葬儀とは、遺族が故人に変わって、生前、故人がお世話になった方々へお礼や感謝の気持ちを伝える場です。
家族葬だからと、故人の友人・知人に葬儀を知らせなかった、または参列をご遠慮いただいた場合には、後日、訃報と無事葬儀を終えた旨をお知らせする挨拶状を送った方が好ましいでしょう。
2 新しいスタイル「リビング家族葬」とは
家族葬の要望が高まる中で、新しいスタイルとして最近注目を集めているものに「リビング家族葬」があります。
参列者は家族葬と同様、家族や親族などの近親者ですが、特徴的なのはその会場で、リビングに見立てた式場で行われる形式の葬儀です。
親しい方々をリビングにお招きし、まるで自宅にいるような感覚でゆったりとした気持ちでお別れすることができます。
「リビング家族葬」といわれるものに定義はありませんが、リビングルームだけの施設もあれば、ダイニングやキッチン、バスルームや和室なども常備している高級マンションのような式場もあります。
形式も自由ですが、現状としては「通夜と葬儀・告別式」といった一般葬と同じ形式で行われるのがオーソドックスなようです。
かしこまりがちな通夜や葬儀も、リビングのような空間であれば、自宅にいる時のようにリラックスした気持ちで弔問客を迎え入れることができるため、故人とのお別れのひとときも、心穏やかな気持ちで過ごせるのが、「リビング家族葬」が受け入れられている理由かもしれません。
3 まとめ
家族葬は、近親者だけでゆったりとした気持ちで故人とのお別れの時間を過ごせたり、故人の意思や人柄を反映した葬儀を実現しやすかったりと、葬儀に対する価値観が変わってきた現代において、相性の良い葬儀形式と言えます。
けれども、家族葬だからと葬儀の手間が省けたり、費用を抑えられたりといったことが、すべての場合に適用されるわけではありません。
準備や確認を怠ればかえって手間がかかることもありますし、気付かぬところで礼儀を欠いてしまう恐れもあります。
故人にとって、一番良い葬儀の形とは何か。ご本人の意思や希望もふまえて、家族間・親族間でも十分相談しながら決められると良いでしょう。
くらしの友では、随時事前相談も行っているほか、リビング家族葬が行える直営斎場もございます。この機会に参考程度にでも情報を得ておくことをおすすめします。