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葬儀の種類を解説~あなたに合った葬儀の選び方~
/(株)くらしの友 儀典本部
2004年くらしの友入社、厚⽣労働省認定の技能審査制度「葬祭ディレクター」1級取得。
故人様とご遺族に寄り添い、大規模な社葬から家族葬まで、これまで1,000件以上の葬儀に携わる。
葬儀にはさまざまな種類があります。近年は、通夜と葬儀・告別式を2日間かけて行う一般的な葬儀の他にも、故人の意思を尊重した形で葬儀を執り行うケースも増えてきました。
この記事では、葬儀の種類やそれぞれの特徴、メリット・デメリットや注意点などを紹介します。また最近の葬儀の傾向やよくある質問に関しても触れていますので、ご自身や家族に合った葬儀について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事で分かること
- 葬儀にはどのような種類があるのか
- 最新の葬儀の傾向や種類の変化について
- 自分に合った葬儀のスタイルはどのようなものか
目次
1 主な葬儀の種類11選
価値観や考え方の多様化を背景に、従来の葬儀スタイルの枠を超えて新たな葬儀の形式を選択肢の一つとして考える方も増えてきました。大切な方が亡くなったとき、その方にふさわしい葬儀を執り行うためには、さまざまな葬儀の種類について事前に知識を持っておくと役に立ちます。まずは、主な葬儀の種類を、特徴やメリット・デメリットや注意点とともに11種類紹介します。
1-1 1.一般葬
●故人やその家族と縁のある方を招くことができる
●家族は参列者の対応や葬儀の準備に追われやすい
一般葬は喪主や家族、親族に加えて、故人と生前関わりがあった友人や職場の方、近所の方、遺族の関係者などを招いて執り行う葬儀です。その際、通夜の翌日に葬儀や告別式を行い、火葬する流れが一般的です。参列人数の目安は、故人との関係や地域、家族構成によって異なります。会場は葬儀社の葬儀式場の他、公営斎場や民営斎場、寺院、神社などを使用し、ます。
一般葬の大きなメリットは、故人と縁のある方々に見送るチャンスがあることです。この形式では、故人と親しい友人や親族が集まり、最後の別れを共にすることができます。また、参列を希望する方には自由に参加していただけるため、多くの人に故人の思い出を共有してもらえる場となります。
参列者が多い場合は、スペースにゆとりのある会場を手配したり、参列者の正確な人数が分からない状況で食事や返礼品を用意したりすることになるので家族の負担も大きくなることに留意しましょう。
接待費用の金銭的な負担はあるものの、香典によってその負担を軽減できる一面もあります。
1-2 2.家族葬
参列者は10〜30名前後が目安。
●故人とごく近しい関係の人だけで落ち着いた雰囲気の中、葬儀を執り行える
(注意点)
家族葬は基本的に親族を中心に行われる葬儀ですが、親族以外の方も参加することができます。親しい友人や知人、近隣の方々が故人を偲ぶために参列することもあります。
少人数の参列者で、落ち着いた雰囲気の中で行われるのが家族葬の特徴といえます。また、事前に参加者の範囲を決めておくことで、故人や遺族の意向に沿った葬儀を行うことができるのも家族葬の魅力の一つです。
通夜の翌日に葬儀・告別式を行った後に、火葬を行う流れが一般的で、2日間かけて行います。葬儀式場は家族葬向けの広さの葬儀社の葬儀式場の他、寺院、神社、自宅など参列者の人数に合った場所を選ぶとよいでしょう。
家族葬は小規模な葬儀で参列できる方が限られるため、葬儀の場でお別れができなかった方の中には心残りに思う人がいるかもしれませんので配慮が必要です。
葬儀に呼ばなかった人に対して葬儀後に訃報を知らせる際には、故人と家族の意向に基づいて家族葬が行われたことを伝えると良いでしょう。これにより、参加できなかった方からも理解を得やすくなります。
1-3 3.一日葬
●遠方からの参列者がいる場合、宿泊費が発生せず、参列者のスケジュール調整もしやすい
(注意点)
●昼間に行うので参列できない方も出てくる
●費用の大幅な削減にはならない
一日葬は、告別式と火葬を1日で執り行う葬儀形式です。一般的な、通夜、葬儀・告別式と2日かけて執り行うところを1日で行いますので、時間的な負担が軽減されます。
一方、大幅な費用の削減にならないことには注意が必要です。一日葬は、一般的な葬儀と同様に、葬儀社の葬儀式場の他、公営斎場や民間斎場、自宅で行います。利用する葬儀式場によっては、葬儀前日に遺体を運び入れることもあり、一般的な葬儀と同様に2日分の会場費がかかります。また、葬儀に必要な祭壇や棺などの費用も、一般的な葬儀と同じです。
1-4 4.直葬(火葬式)
(注意点)
●菩提寺がある場合は許可を得る必要がある
※菩提寺:先祖や故人の供養を行うための寺院のこと
直葬(火葬式)は、通夜や告別式を省略して火葬のみを行う形式です。参列者は招かず、故人の家族や親族の数名のみで行う場合が多く、友人や知人を招くことは基本的にはありません。直葬の流れは、葬儀社やプランによって異なるため注意が必要です。例えば、遺族が安置室で納棺を行い、短時間のお別れの時間を設けた後に出棺して火葬する場合や、遺族が直接火葬場に集合してそのまま火葬を行うプランなどもあります。
一日葬と同じく、菩提寺に許可を得てから行う必要があります。直葬の際に菩提寺の許可が必要な理由は、故人が所属する宗教や宗派の伝統に従うためです。菩提寺は故人の宗教的な儀式を執り行う場所であり、直葬を選ぶ際にはその意向を尊重し、許可を得ることが重要です。事前に許可を得ていないと、納骨を拒否されることもあるため、菩提寺との意思疎通をしっかりと行いましょう。これにより、菩提寺との関係を円滑に保ち、トラブルを避けることができます。
1-5 5.社葬
2.団結力の強化: 社員や関係者が集まり、故人を偲ぶことで団結感が生まれる。
3.ブランドイメージの向上: 企業の社会的責任を果たし、信頼感を高める機会となる。
4.葬儀費用の全額または一部は法人が負担するので家族の費用負担が軽減する
(注意点)
社葬は、法人の創業者や会長、社長、経営陣などが亡くなった際に、法人が主体となって行う葬儀です。葬儀の規模は問われず、小規模から大規模なものまで多様な形態が存在します。
法人の社葬においては、法人の代表者や役員が喪主を務めることが一般的です。社葬では施主が法人であり、喪主は故人の遺族が務めることもあります。この場合、法人が葬儀を主催し、遺族が喪主として故人を弔う役割を果たします。これにより、法人としての公式な葬儀を行いつつ、遺族の意向や感情にも配慮される形になります。
費用の全額または一部は企業が福利厚生費の名目で経費として負担するので、家族の経済的な負担を軽減できます。
社葬は多くの場合、会社の規定や方針に基づいて定められており、そこでは社葬の実施基準や手続き、施主や喪主の選定、費用負担などが明文化されています。ただし、企業によっては社葬に関する規定がない場合もあります。いずれにしても関係者は多方面での調整や準備が必要になります。
1-6 6.合同葬
●香典をもらっても基本的には課税対象にならない
(注意点)
合同葬とは、法人と遺族、または2社以上の法人が合同で葬儀を執り行う形式です。葬儀費用は各企業によって規定の違いがあるため、どちらがいくら負担するのか異なるものの、話し合いを通じて取り決めるため総合的には個々が負担する費用を抑えられるケースが多いといえます。
1-7 7.お別れ会
故人への感謝や思いを伝える機会になる
故人と親しい人々と共に思い出を共有できる
葬儀よりも準備期間が長く、計画を立てやすい
お別れ会を主催するのは通常、故人の家族や親族です。ただし、故人の友人や同僚が中心になって企画する場合もあります。また、場合によっては、所属していた法人や団体が主催することもあります。主催者が誰であれ、故人を偲ぶための場を作ることが目的です。会場は主にホテルやレストラン、葬祭場などです。形式は、祭壇を飾って焼香や献花を行ったり、会食中心のパーティー形式にしたりなど様々で、自由に行える反面、成功させるには時間をかけて準備する必要があります。会場によっては持ち込めるものが決まっていることもあるので、注意しましょう。
1-8 8.密葬
(注意点)
密葬とは、本葬に先駆けて行う、家族や親族だけで行う小規模な葬儀のことです。密葬後は、多くの参列者を招いて大規模な本葬やお別れ会を別に行います。
なお、密葬と家族葬はしばしば混同されることがありますが、実際には全く異なる形式です。
1-9 9.無宗教葬
●式の内容次第では費用を抑えられる
●僧侶を呼ばないので葬儀や法要でお布施を用意しなくてもよい
(注意点)
●菩提寺とトラブルになることもある
無宗教葬は、特定の宗教儀式を省き、故人や遺族の希望に基づいて進行する柔軟な形式です。参列者が思い出を語り合ったり、手紙を読み上げたりする時間を設けることで、個々の価値観やライフスタイルを反映した追悼が実現します。
また、故人の好きな音楽や写真を使用することで、よりパーソナルなセレモニーが実現できます。このように、無宗教葬は自由度が高く、オリジナリティを重視する形式です。
故人らしさを尊重した葬儀ができる一方で、宗教の内容に沿わない場合は納骨させてもらえないこともあります。葬儀後のトラブルを避けるためにも、菩提寺との話し合いは事前に行っておきましょう。
1-10 10.骨葬
●会場への遺体搬送費がかからない
(注意点)
●費用の大幅な削減にはならない
骨葬とは、葬儀前に火葬して遺骨を供養する葬儀の形式です。故人が遠方で亡くなったり、遺体が損傷していたりする場合に執り行います。また、東北地方や北海道、九州の一部など、骨葬が主流の地域もあります。
1-11 11.生前葬
(注意点)
生前葬とは、故人が生前に行う葬儀のことを指します。通常の葬儀とは異なり、亡くなる前に自らの意志で準備を進め、親しい人々を招いて自分の人生を振り返ったり、感謝を伝えたりする場として設けられます。この形式の葬儀では、故人が自身の思いを伝えることができるため、家族や友人との関係を深める機会にもなります。
ただし、周囲の理解を得ることが必要で、賛否が分かれることもあります。
2 2024年の葬儀の傾向や種類の変化とは?
故人の意思を尊重した形で葬儀を執り行うケースが増えてきた現代では、以前と比べてどのような変化が起きているのでしょうか。ここからは、株式会社くらしの友が調査したデータを基に2024年の葬儀の規模や葬儀形態に関する内容を紹介します。
2-1 大規模な葬儀が減少傾向にある
以前は、葬儀とは故人と一緒に大切なひと時を過ごすという特別な意味合いが強く、多くの参列者を招いて大規模に行うことも珍しくありませんでした。近年は少ない参列者で小規模な葬儀を執り行うことが増え、大規模な葬儀は減少傾向にあります。
株式会社くらしの友が実施した「年度別平均参列者数」の調査結果を見ても、コロナ前とコロナ後の参列者数の推移を見ると、2018年の48.7人から2019年の44.1人へ減少し、その後2020年には25.3人、2021年には23.7人と大幅に減少したことがわかります。この時期は新型コロナウイルスの影響で、感染対策として葬儀の参列者数が制限され、多くの人々が参列を控えたことが反映されています。2022年には26.0人と若干の回復が見られるものの、コロナ前の水準には達していません。
特に、コロナをきっかけに参列者数が減少したことは、今後の葬儀のあり方にも影響を与える可能性があります。
2-2 無宗教葬儀は増えているが、仏式の葬儀が大半
近年は、故人らしさや家族の思いを形にできるかどうかを大切にしながら、葬儀を執り行うことも増えてきました。無宗教葬儀であれば自由な形式で葬儀を執り行えるため、少数派ではあるものの候補に入れるケースが見られるようになっています。
株式会社くらしの友が実施した「葬儀形態別件数」の調査結果を見ても、全体の96%が仏式の葬儀となっており、仏式の葬儀が大半を占めていることが分かります。一方で無宗教葬を執り行った件数は、全体の1%という結果になりました。
3 葬儀の種類に関するよくある質問
ここからは、株式会社くらしの友に寄せられる質問の中から、特に問い合わせが多いものを紹介します。葬儀の種類に関する質問は、多くの方が気になっているでしょう。理解を深めるためにも、ぜひ参考にしてください。
3-1 一日葬と直葬の違いとは何?
一日葬と直葬(火葬式)は、いずれも通夜を行わない点は同じです。葬儀・告別式の有無やそれに関係する費用、葬儀にかかる時間が異なります。
一日葬の場合は、告別式や葬儀を行った後、火葬の後に初七日法要と精進落としを行うので半日程度かかるのが一般的です。葬儀・告別式を行うため、直葬と比べて費用は高くなります。
一方で、直葬は儀式を行わずに火葬のみとなり、会食があったとしても軽食なので、3時間程度と短時間で済みます。葬儀費用を最も抑えることができる葬送の形式です。
直葬・一日葬のいずれの場合にも、菩提寺や親族の理解を得る必要があります。
3-2 葬儀の主な分類は何?
葬儀は一般葬と家族葬、一日葬、直葬・火葬式の4つに分けられます。葬儀の種類別に以下にポイントをまとめていますので、参考にしてください。
●参列者の人数が明確ではないので家族は対応に追われる可能性もある
●参列者が少ないため落ち着いた雰囲気で過ごせる
●葬儀後も自宅に弔問客が来る可能性がある
●家族や参列者の時間的・体力的な負担を軽減できる
●菩提寺がある場合は許可を得る必要がある
●費用が大幅に抑えられるとは限らない
●金銭的な負担を最も抑えられる形式
●故人との別れの時間が短い
●菩提寺がある場合は許可を得る必要がある
4 まとめ:葬儀の種類に迷ったら葬儀社へ相談を
葬儀は主に一般葬と家族葬、一日葬、直葬・火葬式に分けられます。他にも、今回紹介したようにさまざまな種類があります。その中から、故人の意思や家族の思いを形にできるものを、それぞれの葬儀の特徴やメリット・デメリットを理解したうえで選ぶとよいでしょう。
株式会社くらしの友では、お客さまの気持ちに寄り添いながらさまざまな葬儀スタイルをサポートいたします。事前相談も行っておりますので、葬儀の内容や費用に関して気になることがある方は、ぜひ一度お問い合わせください。