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【2024年版】葬儀にかかる費用相場は?内訳や注意点を解説
/(株)くらしの友 儀典本部
2004年くらしの友入社、厚⽣労働省認定の技能審査制度「葬祭ディレクター」1級取得。
故人様とご遺族に寄り添い、大規模な社葬から家族葬まで、これまで1,000件以上の葬儀に携わる。
多くの人が「葬儀を行うに際し、費用面で不安がある」と考えています。
そこで、ここではデータを元に「葬儀費用の平均」について解説します。
この記事で分かること
- 葬儀に対する一般の人々の意見
- 葬儀用品一式の相場について
- 葬儀費用を軽減する補助・扶助制度について
目次
1 葬儀費用の平均相場はどれくらい?
まずは「葬儀費用の基本的な知識」と「葬儀の種類によって葬儀費用は変わるのか」について解説していきます。
1-1 葬儀形式についての基本的な知識
一口に「葬儀費用」といっても、かかる費用はそれぞれの葬儀によって大きく異なります。
まず基本的な考え方として、葬儀は大規模なものであるほど多額のお金がかかるようになりますし、小規模なものであるほど少額で済むようになります。
同規模の葬儀であっても、食事をするか、しないかによって費用は大きく変わってきます。
また、「宗教的な儀式を行うのか、無宗教の葬儀とするのか」によっても費用の総額は変わります。なぜなら宗教的な儀式を行う場合は、宗教的儀式を行う宗教者に対して、「お布施」というかたちでお金を支払うことになるからです。
さらに、どのような葬儀会社・どのような葬儀会場を選ぶかによっても費用は変わります。
加えて、故人・喪主・喪家側で、「このような葬儀にしてほしい」などの希望がある場合は、その希望の内容によってはオプション費用が掛かってくることもあるでしょう。
「葬儀費用の内訳」についての詳細は後述しますが、このように「葬儀」といってもその費用は千差万別であることを押さえておかなければなりません。
1-2 葬儀の形式別、費用の平均と目安
上でも少し述べましたが、葬儀費用は「葬儀の形式」によって大きく異なります。
私たちが「葬儀」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、いわゆる「一般葬」と呼ばれる、訃報を広く知らせ、通夜と葬儀・告別式の2日間に渡って葬送儀式を行う葬儀の形式です。
2022年に一般財団法人日本消費者協会から発表された、第12回「葬儀についてのアンケート調査」報告書によると、葬儀全体にかかる費用の平均額は161.9万円であったとされています。なお新型コロナウイルス流行前の2017年~2019年の平均額は177.8万円であったということです。
この数値は、葬儀費用の相場を知るためのひとつの目安となりそうです。
近年増えている家族葬や一日葬の費用についても見ていきましょう。
家族葬はよく「参列する人の数を、喪主・喪家側が把握しやすい形態の葬儀である」と説明されます。しかしその定義はかなりあいまいであり、葬儀会社ごとに違いがあるのが現状です。
また、一日葬に関しては「通夜を行わないで、葬儀・告別式だけを行う形態である」とされてはいるものの、葬儀費用を決定するうえでもっとも重要な要素である「葬儀の規模=参列者の数」を決定するものではありません。
このため、これらの平均値を求めることは極めて難しいといえます。
ただ一般的に家族葬や一日葬は一般葬に比べて規模が小さくなりやすいため、一般葬よりは葬儀費用が少なくなる傾向にあるといえます。
なお、もっとも簡素な葬儀として知られている「直葬(火葬儀)」の費用は非常に安いのが特徴です。通夜や葬儀・告別式は行わず、限られた人だけが、立ち合って火葬のみを行うシンプルなスタイルのこの葬儀は、どこの葬儀会社も「その葬儀会社のプランのなかで、もっとも安い費用で行える」としています。
2 葬儀費用の内訳
2-1 葬儀用品一式の相場は?平均費用112万円
「葬儀用品一式の費用」とは、「飲食接待費用・お布施」を除いた金額をいいます。
祭壇や棺、骨壷などのような必ず必要になるもののほか、葬儀会社のスタッフの人件費用や葬儀ホールを借りる費用、さらには火葬場の利用費用などを含むもので、葬儀費用の大部分を占めるものだといえます。
葬儀用品一式の平均費用は、112万円程度です。
2-2 飲食接待費用の料金相場は?平均費用12万円
「飲食接待費用」とは、葬儀のときに行う飲食などにかかる費用をいいます。
通夜振る舞いや火葬場での軽食、火葬後の会食などの費用がこれに当たります。また、葬儀・告別式を行う日の朝食費用もここに含まれることがあります。
飲食費用の平均費用は、約12万円です。新型コロナウイルスの影響がもっとも色濃く出た部分です。感染症の流行により、葬儀に参列する人の数が減ったことや会食自体を見合わせたケースが多く、新型コロナウイルス前に比べて約4割程度も減少しました。
2-3 お布施(宗教者へのお礼)の料金相場は?平均費用43万円
宗教者へのお礼をする場合、その人に対して「お布施」というかたちでお礼を渡す必要があります。
このお布施は明確な金額は決まっておらず、依頼する寺院により相場も異なります。また、「戒名料」という言葉は存在しないものの、高位の戒名を授かることになった場合はお布施が高くなる傾向にあります。
3 葬儀の形式や内容で費用が変わる
葬儀の費用を考えるうえで大切なのは、葬儀の総額の予算感を持っておくことです。葬儀を終えたあとで問題になりやすいのは、「予想以上に葬儀費用が高くなってしまったこと」です。
事前に「葬儀費用は100万円くらいかかるだろう」と予想していた場合と、「葬儀費用は30万円程度だとかんがえていたのに、100万円かかってしまった」というときでは、同じ「100万円」でも精神的な負担が異なります。
では、「自分が今考えている形式で葬儀を行う場合、いくらくらいかかるか」を把握するためには、「どのようなポイントで葬儀費用は変わってくるのか」を知っておくことが重要です。
3-1 葬儀の費用にかかわる内容について
すでに述べた通り、葬儀費用は葬儀の形式や内容によって変わってきます。
もう少し具体的に考えていきましょう。
3-1-1 葬儀の規模
葬儀費用は、規模の大小によって大きく変わってきます。葬儀の規模が大きくなれば、広い葬儀式場を借りる必要があります。借りる式場が広くなるに伴い、動員される葬儀会社のスタッフも多くなるので、人件費もかかります。
訃報をどの範囲の人にお知らせするかにより、参列する人数が変わります。参列人数によって葬儀にかかる費用が異なりますので、人数の見当をつけるのが、費用の目安を知る手がかりになるでしょう。
なお、故人とのお別れの場となる葬儀は1回限りですから、訃報を伝えるか迷う場合には、お知らせした方がよいでしょう。
ただし「故人が身内だけで葬儀を行うことを希望していた」ということであれば、家族葬や一日葬も視野に入れた方がいいかもしれません。
3-1-2 ご葬儀のスタイル(宗教)の希望
宗教者(僧侶さまや神父さまなど)を呼んで行う葬儀の場合、その宗教者に支払う「お布施」が必要になります。お布施は「気持ちを表すもの」であるため明確な金額が設定されているわけではありませんが、おおむね葬儀全体の費用の4分の1程度を占めるとされています。
言い方を変えれば、無宗教での葬儀の場合はこの「お布施」が発生しないということになります。葬送儀礼は故人との最後のお別れとなる場面ですから一概に「無宗教で行うべきだ」ということはできませんが、故人の希望が「無宗教で送ってほしい」「できるだけ小さな葬儀にしてほしい」ということであれば、その願いに添って無宗教の葬儀を行う選択肢も視野に入ってくるでしょう。
3-1-3 供物や供花、食事をどうするか?
供物や供花を受け入れるのかについても考えておきましょう。供物や供花は弔いの気持ちを表すものであり、重要な意味を持つものではありますが、これを用意するとなれば当然のことながら費用がかかります。
また、一般弔問客からの供物・供花を受け入れる場合は、それに対する返礼品をお渡しするのが丁寧です。
また、葬儀の後に行う通夜振る舞い(お清め)や精進落としの食事を行わない場合は、飲食にともなう費用は発生しません。食事をふるまうかわりに、お弁当などを持ち帰っていただく形式もあります。
4 葬儀費用について知っておきたいポイント
4-1 葬儀費用は誰が負担するのか?
葬儀費用は、原則として喪主が担います。また、入ってくる不祝儀(香典)も喪主が受け取ります。
ただし、社葬の場合は「葬儀費用は会社側が担い、不祝儀(香典)は喪家が受け取る」という形式をとることもあります。
また非常にまれなケースではありますが、「葬儀の責任者として喪主を立てるが、葬儀の費用は施主が支払う」というやり方もあります。たとえば、故人の配偶者が喪主として立つが、高齢で支払いが困難なため、現役世代である故人の子どもが施主として葬儀費用を支払う、などのようなケースがこれにあたります。
4-2 葬儀費用は故人の資産から支払える?
葬儀費用は、基本的には故人の残した資産から支払うことができます。
たとえば喪主が一度すべての費用を支払った後、遺産の分割割合に関わらず、まずはかかった葬儀費用を喪主が受け取り、残った遺産を分割割合に応じて分けることができます。
ただしこれはあくまで基本の考え方です。裁判などに至った場合はこの判断にゆらぎが生じる場合もあるため、「葬儀費用はどんなときでも相続財産から支払える」とまでは言い切れません。そのため、相続関係でもめごとが起こりそうだ……という場合には、安易に判断することは避けましょう。
4-3 便利だが注意すべき制度「相続預貯金の仮払い制度」
上記に関連して知っておきたいのが、「相続預貯金の仮払い制度」です。人が死亡したとき、不正利用を防止するために故人の口座は凍結されます。しかしこれでは、「家族のだれも葬儀費用を支払える金銭状態にない」「故人の収入によって生計を立てていたので、故人が亡くなると生活が立ち行かなくなる」という場合、非常に困ってしまいます。
そのような状況を避けるために、人が亡くなったとき、その人の死亡時の預貯金残高×法定相続分×3分の1または150万円までを出金できる制度が作られました。
しかしこの制度は書類による申請が必要ですから、事前に各金融機関への確認が必要になります。また、「おろした金額を全額葬儀に使った」という場合(そしてそれが立証できる場合)は問題ありませんが、一部でも生活費に使ってしまうと、単純承認とみなされることがあります。単純承認であるとされた場合、後から故人に負の財産(借金など)が出てきた場合は、それも引き継がなければならなるため注意が必要です。
4-4 葬儀費用を軽減する補助・扶助制度を利用する
葬儀費用の負担を軽減するための補助・扶助制度として、「葬祭費補助金制度」があります。
これは、国民健康保険に入っていたり、社会保険・共済組合に入っていたりする人が受け取れるものです。
市町村や組合によって多少の違いはありますが、葬儀・埋葬を行った家族に対しておおよそ50,000円程度の金銭が支払われます。
また、事前に互助会に加入したり、それぞれの葬儀会社の会員になったりしておくことで、葬儀費用の負担を軽減することができるようになるケースもあります。
5 まとめ
葬儀費用は昔から、多くの人の悩みの種となってきたものです。しかしその平均相場や内訳を正しく知り、事前にかかる費用の見当をつけることで、「予想以上に葬儀費用がかかってしまった」というトラブルも避けられます。
「事前にどれくらいの葬儀費用がかかるか知りたい」という人は、私たちにご相談ください。