- 葬儀
葬儀日程の決め方 友引や仏滅に葬儀をしてもいいの?注意点も
/(株)くらしの友 儀典本部
2004年くらしの友入社、厚⽣労働省認定の技能審査制度「葬祭ディレクター」1級取得。
故人様とご遺族に寄り添い、大規模な社葬から家族葬まで、これまで1,000件以上の葬儀に携わる。
大切な家族が亡くなったときは、どんな方でも気が動転してしまうものです。しかし、まずは葬儀社や日程を決めて、動き始めなければなりません。とくに葬儀の日程は、火葬場や葬儀場の空き状況に左右されるため、家族の希望通りにならないこともあります。そこで、葬儀の日程はどのように決まるのか、またご逝去からの流れやスケジュールも具体的に解説します。
この記事で分かること
- お通夜・葬儀の日程の決め方
- 葬儀の日程を決める際の注意点
- 友引や仏滅などの六曜と葬儀日程との関係性
目次
1 お通夜・葬儀の日程はどうやって決める?
ご逝去のあと、お通夜・葬儀の日程は各方面のスケジュールを確認して決められます。具体的なお通夜や葬儀の日程の決め方をご紹介します。
1-1 ご逝去から葬儀までの平均日数
ご逝去後1~3日ほどでお通夜を営み、通夜の翌日に葬儀と火葬を行うのが一般的で、ご逝去から火葬までの平均日数は2~4日ほどです。
しかし、ご逝去から葬儀までの平均日数は、地域による差が大きくなっています。地方では、ご逝去の翌日にお通夜、その翌日に葬儀を営むのが一般的です。一方、人口の多い首都圏では葬儀場や火葬場の予約が埋まりやすく、ご逝去から1週間後に葬儀を行うことも多いです。
1-2 お通夜・葬儀の日程を決めるのに必要な確認事項
お通夜・葬儀の日程を決める際に、確認しておきたいことがあります。次の3点を確認し、日程を決める際の参考にしましょう。
・火葬場や葬儀場の空き状況
お通夜や葬儀の日程を決めるうえで、最初に確認したいのが火葬場や葬儀場の空き状況です。とくに首都圏では、人口に対して火葬場の数が少なく、なかなか空きがない状態です。このため、葬儀を依頼する葬儀社を決めたら、すぐに火葬場や葬儀場の空きを調べてもらいましょう。
・菩提寺や僧侶のスケジュール
菩提寺がある場合には、お通夜や葬儀の読経を菩提寺の僧侶に依頼するのが習わしです。このため、ご家族がお亡くなりになったら、菩提寺に連絡してスケジュールを確認しましょう。
特にお盆やお彼岸は、寺社が忙しい時期です。亡くなったのがこの期間だった場合には、菩提寺とよく相談して葬儀の日程を決めましょう。
・参列する親族のスケジュール
参列する親族のスケジュールを確認することも大切です。たとえば、海外に住んでいる家族がいる場合、帰国するまで葬儀を待つというケースも実際にあります。親族の事情を確認し、要望を葬儀社に早めに伝えましょう。
1-3 葬儀日程を決める注意点
葬儀の日程を決める際に注意することは、ほかにもあります。
ご逝去から葬儀までの期間が空くよりも、早くに執り行ったほうがよいと考える方がいるかもしれません。しかし、ご逝去から火葬までは最短でも24時間以上あける必要があると、法律で定められています(※1)。
お通夜や告別式を行わず火葬のみを執り行う「直葬(ちょくそう)」という形式の葬儀を行う方もいますが、24時間はご遺体を安置する必要があります。
1-4 地域による違い
葬儀の日程や順序に関しては、地域によって風習が異なる場合もあります。
一般的には、ご逝去のあと、お通夜・葬儀(告別式)・火葬の順番に葬儀は執り行われます。しかし、「骨葬(こつそう)」という習慣がある地域では、お通夜・火葬・葬儀(告別式)に順番が入れ替わります。
骨葬を行う地域は、北海道・東北・北関東・甲信越・東海・中国・九州の一部の地域と、全国に点在しています。そのなかでも、とくに多いのは東北地方です。
骨葬が行われるようになった理由としては、雪深い地域で親族が集まるのに時間がかかったり、農業や漁業の繁忙期にはすぐに葬儀を行えなかったりという地域の事情によるものだといわれています。
現在でも骨葬を行う地域では、お通夜翌日の午前中に親族だけで火葬をし、午後から葬儀・告別式を行います。
2 ご逝去~お通夜・葬儀~法要までのスケジュール
お通夜や葬儀の日程を決める際に、ご逝去から法要までの流れを知っておくことは大切です。そこで、ご逝去から四十九日法要までのスケジュールを順番に解説します。葬儀関連のスケジュールは地域の習慣によって異なりますが、ここでは一般的な例をご紹介します。
2-1 ご逝去から葬儀までの流れ
2-2 葬儀から法要までの流れ(法要の日程の決め方)
葬儀から四十九日法要までの流れは次の通りです。
(1) 火葬
一連の葬儀は火葬によって完了します。その後、骨壺に納められたお骨は自宅で安置されます。
(2) 初七日法要・精進落とし(火葬後に行う繰り上げ法要が一般的)
初七日法要とは、もともとはご逝去から7日目に親族や友人が集まって行う法要でした。しかし、遠方からの参列者がいて都合をつけるのが難しいことから、最近では葬儀・告別式の式中または火葬後に繰り上げて法要を行うのが一般的です。葬儀後に行う精進落としと合わせて、僧侶や参列者と食事会をすることも多くなっています。
(3) 後飾り祭壇の設置
お骨が自宅に戻ってきたら、後飾り祭壇を設置します。正式にはこの祭壇の前で読経やお焼香を行うのですが、最近は省略されることも多くなっています。
(4) 四十九日法要
四十九日法要とは、故人が亡くなってから49日目に行われる法要のことです。四十九日法要は、亡くなった日からちょうど49日目に行うわけではなく、ご家族や親族が集まりやすいように少し日程を前倒しにして、休日に行っても差し支えありません。
四十九日法要は、ご家族や親族、親しい友人たちが菩提寺に集まり、読経とお焼香をしたあと、お斎(おとき)と呼ばれる会席をいただきます。
(5) 納骨
納骨は、四十九日法要と同じ日に行う傾向にあります。菩提寺にお墓がある場合には、四十九日法要のあとに納骨を済ませます。
2-3 仏式以外の法要の場合
仏教以外の宗教(無宗教・キリスト教式・神式)の場合を解説します。
・無宗教の場合
無宗教で葬儀を行う場合には、宗教者を葬儀に呼びません。故人が無宗教葬を希望していたが、菩提寺がある場合には注意が必要です。読経やお焼香はせず、献花で故人とのお別れをするケースが多い傾向にあります。決まった形式がないため、葬儀の準備をする際は祭壇のイメージや流してほしい曲などを、担当者と細かく打ち合わせましょう。
四十九日法要や一周忌法要なども行いませんが、家族や友人が命日に集まって故人の思い出を語り合う食事会を行うことが多くあります。
・キリスト教式
キリスト教式では、本来お通夜という考え方はありません。しかし、日本の習慣を融合させて、カトリックでは「通夜の祈り」、プロテスタントでは「前夜祭」という式が行われます。仏式のお通夜とは異なり、会食はしません。
葬儀は聖書の朗読・説教・賛美歌などで構成され、参列者は献花を行います。合間に、参列者代表のお別れの言葉や家族の挨拶が入ることもあります。
仏式の法要と同じようなものとしては、次のものが挙げられます。
カトリックでは「追悼ミサ」をご逝去後、3日目・7日目・30日目に教会で行います。その後は、毎年11月2日に「死者の日」の特別ミサを開催します。
プロテスタントでは「召天(しょうてん)記念日」を1週間目か10日目、1ヶ月目に自宅や教会で行います。その後は、1年目・3年目・5年目・7年目に記念集会を開催します。
・神式
神道では死は穢(けが)れとして避けられるので、葬儀を斎場か自宅で行うのが一般的です。
仏式の法要にあたるものは、「霊祭(れいさい)」か「式年祭」と呼ばれます。霊祭はご逝去後1年以内に行われる法要を指し、亡くなった次の日に行われる「翌日祭」や仏式の初七日法要にあたる「十日祭」、四十九日法要にあたる「五十日祭」などがあります。式年祭は、一周忌にあたるものが「一年祭」、ご逝去から3年後は「三年祭」です。
3 友引や仏滅には葬儀をしていいの?
葬儀を執り行ってはいけないといわれている友引。また、縁起が悪いイメージのある仏滅の日も葬儀をしてはいけないと考えている方が多いでしょう。実際に、友引や仏滅に葬儀をしてもよいのかどうかについて解説します。
3-1 友引に葬儀が行われることが少ない理由
六曜の「友引」には、もともとよくも悪くもない、引き分けの日という意味がありました。(※2)「供引」という漢字があてられていましたが、その後陰陽道の「友引」という考えが入り、漢字の表記が変更します。陰陽道の「友引」は、友人の災いが起きる方角のことを指します。 これによって、友引の日には葬儀をしないという風習が始まりました。
しかし、友引はお通夜をしてもよいというのが一般的な考えです。友引の日は火葬場が休業することが多く、通常火葬と同じ日に営まれる葬儀ができないという事情があります。また、仏滅の日はお通夜・葬儀を執り行うことについては、とくに問題ありません。
3-2 友引に葬儀を行う場合の注意点
実は仏教や神道などの宗教で、友引に葬儀を行ってはいけないという規定はありません。若い方を中心に、六曜をそこまで気にしない方も多く、友引に葬儀を行うことに抵抗がない方も増えています。そのため、友引でも営業している火葬場の予約がとれれば、友引に葬儀を行っても問題はありません。
しかし、参列者や近所の方から嫌がられる可能性はあります。とくに年配の方にとって抵抗感が大きいので、友引に葬儀を行う際は配慮が必要です。
4 年末年始の場合はどうしたらよいの?
故人が亡くなったのが年末年始のときは、葬儀の日程決めに注意が必要です。
4-1 年末年始でも葬儀は通常どおり行える
4-2 年末年始の葬儀での注意点
年末年始に故人がお亡くなりになった場合、気をつけなればならないのが火葬場の休業日です。火葬場は年始(1月1日~1月3日)に休業するのが一般的です。このため、火葬場の営業に合わせて、葬儀もお正月休み明けに行う方が多い傾向です。また、休み明けの葬儀や火葬は大変混み合います。葬儀までの間は安置施設を利用するなど、対応を考えましょう。
ご逝去から葬儀までの日数があく場合には、次のような対応が必要です。
- ・ご遺体の安置場所を確保する
- ・ドライアイスや冷却庫などを利用する
- ・エンバーミングという遺体保全処理を検討する
ご逝去から葬儀までの日数があけばあくほど、特別な処置が必要になり、その分費用もかかります。葬儀の日程については家族でよく相談しましょう。
5 まとめ
葬儀の日程やご逝去からのスケジュールについて解説しました。ご家族がお亡くなりになったとき、悲しみのなかで葬儀の準備を始めなければなりません。故人が生前に葬儀社を決めていたり互助会に入っていたりする場合には、第一関門である「葬儀社を決める」という難所を切り抜けられます。反対に、葬儀社が決まっていない場合には、場所やサービスの内容などを吟味しながら、限られた時間内で葬儀社を決める必要があります。
地域によって差はありますが、ご逝去からお通夜までの日数は平均1~3日です。家族や親族とよく相談をして、葬儀の日程を決めたいものです。