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弔電の送り方 葬儀のお悔やみ電報の送り方とマナー

作成日:2023.07.13
最終更新日:
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秋葉 祐子のイメージ
監修者
秋葉 祐子
/(株)くらしの友 儀典本部

2004年くらしの友入社、厚⽣労働省認定の技能審査制度「葬祭ディレクター」1級取得。
故人様とご遺族に寄り添い、大規模な社葬から家族葬まで、これまで1,000件以上の葬儀に携わる。

迅速に弔意を伝えられる「電報」は、電話がなかった(あるいは普及していなかった)時代から私たちの心に寄り添い続けてくれるものでありました。今回はこの「弔電(電報)」を取り上げて、

・弔電とは何か

・現在の弔電について

・弔電の送り方

・弔電の選び方と文例

について解説していきます。

この記事で分かること

  • 「電報(弔電)」は、多くの人にとって非常に意義深いもの
  • 弔電は喪主・ご家族のご意向によって「読まれる弔電」が異なる
  • 弔電は定型文であっても問題ない
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目次

  1. 1 弔電とは何か
  2. 2 現在の弔電について
  3. 3 弔電の送り方
  4. 4 弔電の宛名と選び方
  5. 5 弔電のマナーと文例
  6. 6 まとめ

1 弔電とは何か

弔電とは、亡き人を悼み、ご家族に寄り添うために送られる電報のことをいいます。

この弔電(電報)が日本の歴史に登場したのは、1869年(明治2年)です。電話がなかった時代、電報は危急の要件を知らせるために使われていましたし、弔電は迅速に弔意を表すために利用されていました。手紙よりもずっと早く手元に届くことの「電報(弔電)」は、多くの人にとって非常に意義深いものであったのです。

現在は弔電よりもはるかに迅速に弔意を伝えられる「電話」「SNS」が普及しています。しかしそれでも、弔電は「弔意を示すための手段」として現代の世の中に生き続けています。

 

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2 現在の弔電について

日本における電報の歴史は200年ほども前にさかのぼることができますが、その200年のなかで、弔電は少しずつ変化していきました。かつてはカタカナしか利用できませんでしたが、今は漢字やひらがなも問題なく送ることができます。またある程度長い文章を送ることも可能で、より細やかに自分自身の思いを伝えられるようになっています。

特筆すべきは、「弔電の選択肢が増えたこと」でしょう。かつての弔電は、文字だけしか送ることができませんでした。しかし現在は、さまざまな贈り物を一緒につけて贈ることができるようになっています。

たとえば「花」があります。花は弔意を表すために昔から使われてきたものですが、この花と一緒に弔電を贈ることが現在では可能です。「枯れない花」であるプリザーブドフラワーに故人への絶えることのない思いをこめてもよいでしょうし、葬儀の席でよく使われる生花を一緒に贈っても構いません。

 

また、仏教の葬儀においては特に重要な意味を持つ「線香」をつけて贈ることのできるプランや、「ろうそく」をセットにして贈ることのできるプランもあります。

亡き人の姿を写し取った写真を飾れるフォトフレームがセットになった弔電もあれば、しめやかな音色が響くオルゴールつきの弔電もあります。

さらに弔電の台紙自体にも大きな変化がみられます。シンプルな台紙のものももちろん販売されていますが、西陣織の台紙であったり、うるしを使った電報であったりと、さまざまな種類が用意されています。

 

このように、現代の弔電は、かつての弔電とは大きな違いがあります。受け取る人の気持ちを考えて、一番良いと思う弔電を選ぶようにするとよいでしょう(選び方については後述します)。

 

3 弔電の送り方

弔電には「送り方のマナー」があります。ここでは実際に弔電を送ることになった場合に備えて、「弔電の独自性」「弔電を送るタイミング」「弔電を送る先」「弔電は香典(不祝儀)の代わりになりえるか」について解説していきます。

3-1 家族葬における弔電

近年は家族葬の形式も増えていて、供花・供物・香典(不祝儀)を辞退するご家庭もあります。供花・供物・香典(不祝儀)は原則として「受け取った額の2分の1~3分の1のお返し」を必要とするものであるため、手間と金銭面の負担を避けるために、香典や供花の受け取りを辞退する場合があります。

ただ、供花・供物・不祝儀辞退のご意向を示しているご家庭であっても、弔電だけは受け入れるというケースも多く見られます。お返しを必要とする供花・供物・香典(不祝儀)とは異なり、弔電に対して基本的にお返しは必要ないとされています。弔電へのお礼は、電話やお礼状を送るなどご家族の負担が少なくて済みます。そのため、「限られた身内だけで家族葬を執り行う」というケースでも、弔電は受け付けてもらえることがあります。「葬儀は家族葬で行い、供花や弔電は辞退します」という意向がご家族から示されている場合は、事前に葬儀会社に「弔電の受付をしているかどうか」を確認した方がよいでしょう。

3-2 弔電はいつまでに送る?

弔電に限らず電報は、「できるだけ早く届けること」「迅速に思いを伝えること」を目的として作られたものです。
また弔電の場合は、「届いた弔電を精査して、通夜や葬儀・告別式で読み上げるものを選ぶ」という作業が必要となります。

弔電は、届いたものすべてを読み上げるわけではなく、喪主・ご家族のご意向によって、「読まれる弔電」が異なります(※ただし弔電の数が少ない場合などは、すべてを読み上げることもあります)。つまりご家族は、「届いた弔電のなかから、葬儀の式中に読み上げる弔電を選ぶ」という作業をしなければならないのです。
そのため、弔電はできるだけ迅速に送ることが望ましいといえます。基本的には訃報を受け取った段階で即時手配をし、遅くとも通夜・葬儀の前日までに届くようにするのが望ましいでしょう。現在は電話のほかインターネットからも弔電を申し込めるようになっています。

弔電は、非常に速く届きます。送る時間によっては、申し込みをした当日中に葬儀場に届けられることもあります。

3-3 弔電の送り先は「葬儀会場」が基本

弔電の送り先の住所は原則として「葬儀会場」で、自宅には送りません。これには理由があります。

例えば、病院で息を引き取った場合には、ご臨終~安置~通夜・葬儀と、家を留守にする時間帯が長くなります。そのため、留守中に自宅に弔電が届いた場合、ご家族が通夜・葬儀がすべて終わった後に弔電を受け取ることになるのです。

このようなことを避けるために、弔電は葬儀会場に送るのが一般的です。

例外として、葬儀を自宅で執り行う「自宅葬」の場合はそのまま自宅が葬儀会場となるため、弔電も自宅宛てに送ります。
また、「訃報を知った日が葬儀・告別式の当日だった」という場合も、自宅に送るかたちで問題ありません。葬儀の式中に弔電を読み上げることはできませんが、ご家族の気持ちによりそうという弔電の第一の目的は果たすことできます。

3-4 弔電は不祝儀の代わりになるか?

上では、「不祝儀を辞退するとされている場合でも、弔電は送ってもよい」としました。それでは、弔電は不祝儀の代わりとなるのかについて考えていきましょう。
基本的には、弔電は不祝儀の代わりにはなりません。都合により葬儀に参列することができない場合は、弔電を送ったうえで、後日に香典(不祝儀)を持参して、ご自宅へ弔問に行くのがよいでしょう。
なお、弔電は「参列できない葬儀において弔意を示すためのものである」という性質を持つため、通夜や葬儀・告別式に参列する人は、弔電を送る必要はありません。これらに参列する人は、直接ご家族に弔意を伝えられるからです。

4 弔電の宛名と選び方

最後に、弔電の選び方やマナー、弔電の例文について解説していきます。

4-1 弔電の宛名は誰にしたらよいか?

宛名は、原則として喪主名とします。あるいは、「(故)〇〇ご遺族様」などのようにしましょう。1つの葬儀会場で複数の葬儀が行われることもあるため、「どの人・どの家にあてたものか」は、必ず記すようにします。
なお、社葬の場合は、喪主ではなく会社名や会社の代表者名を宛名とすることもあります。

4-2 弔電の選び方

まず、「弔電の選び方」から見ていきましょう。
弔電には数多くの種類がありますが、宗教や立場によって選ぶ弔電が変わってきます。

4-2-1 宗教別

葬儀に「宗教による違い」があるように、弔電にも「宗教による違い」があります。代表的なのが「十字架を印刷した電報台紙」であり、これはキリスト教の葬儀でしか使うことができません。
また、仏教の花である「ハスの花」が印刷された電報台紙は、キリスト教や神道式などのほかの宗教の葬儀には送りません。

「ユリの花」に関してはキリスト教以外の葬儀においても使われるモチーフではありますが、キリスト教を強くイメージさせるものではあります。そのため、キリスト教以外の場合は使用しない方が無難です。

明確に宗教が分かるデザインのものは、それ以外の宗教の葬儀のときには送らないようにします。なお、この場合の「宗教」は、送る側の信仰する宗教ではなく、葬儀を挙げるご家庭の宗教に合わせます。

弔電のデザインのなかには、宗教を問わずに使えるものもありますので、送り先の宗教がわからない場合は、宗教を問わないデザインの弔電を選ぶとよいでしょう。

4-2-2 立場別

弔電を送る場合は、「相手との立場」についても考慮する必要があります。弔電には数多くの種類がありますが「高価で装飾の多い電報であればあるほど良い」ということはなく、それぞれの関係性によって選ぶべき台紙が変わってきます。
たとえば、「故人のご家族の取引先の人間であり、故人との直接の面識がない」という場合は、シンプルな台紙を選んだ方がご家族に負担をかけません。対して、「都合で葬儀に参列できないが、故人と親しく付き合ってきた」などのような状況ならば、上質な台紙を選ぶと気持ちが伝わるでしょう。

5 弔電のマナーと文例

5-1 弔電のマナー

次に、弔電を送る際の書き方のマナーや、注意した方が良いポイントについてお伝えします。

5-1-1 定型文でも構わない

弔電のマナーをお伝えするにあたり、まず初めに押さえておきたいのは「弔電は定型文であってもまったく問題がない」ということです。
弔電を取り扱う各電報会社は、弔電の定型文をいくつか用意しています。「文章が思い浮かばない」「弔電のマナーに沿った無難な文章にしたい」ということであれば、定型文から選ぶのがよいでしょう。

5-1-2 忌み言葉を使わない

自分で文章を作る場合は、「忌み言葉」に気をつけましょう。忌み言葉は葬儀の場においてふさわしくないとされる言葉のことをいいます。
たとえば、不幸が重なったり繰り返したりすることを連想させる「たびたび」「またまた」「再三」などがこれにあたります。重ね言葉である「くれぐれも」などの表現も避けるべきと考えられています。
さらに、生死を直接的に表す表現である「生きていたとき」「死ぬ前」などのような表現も好ましくないとされていますので、「お元気だった頃」「ご生前の」などの表現を用います。
故人が成仏できないことを連想させる「迷う」「浮かばれない」といった言葉も、忌み言葉にあたりますので注意が必要です。

5-1-3 句読点に関しては専門家でも見解が分かれる

「弔電に句読点を打つか、それとも打たないか」は専門家の間でも見解が分かれています。
一般に弔事全般の文章は「滞りなく葬送儀礼が終わるように」と願って句読点を打たないため、弔電もこれにならうとされることがある一方で、可読性を上げるために句読点を打ってもマナー違反ではないとされることもあり、統一されたルールやマナーはないと言えます。

 

ここからは、弔電の例文を記していきます。

5-2 【宗教別】弔電の例文

宗教によって、選ぶ言葉遣いは変わってきます。それぞれ見ていきましょう。

5-2-1 例文① 故人が仏教の場合の弔電

仏教では「ご冥福をお祈りします」という表現が使われますが、これは仏教用語であるため、他の宗教では使われません。また、仏教のなかでも浄土真宗では「冥福を祈る」という表現を用いません。宗派がわからない場合には「ご冥福」という表現は避けた方が無難です。

「○○様の訃報に接し 謹んでお悔やみ申し上げますとともに 故人のご冥福をお祈りいたします」

5-2-2 例文② 故人がキリスト教の場合の弔電

上記の「ご冥福」のほか、「成仏」「往生」「供養」なども仏教独自の言い回しですから注意が必要です。

「神の御許に旅立たれた〇〇様の眠りが安らかであることを 心からお祈り申し上げます。〇〇様と出会いともに過ごせた日々を神に感謝いたします」

5-2-3 例文③ 故人が神道の場合の弔電

「○○様急逝の報を受け 悲しみに耐えません

心から哀悼の意を示すとともに 御霊の安らかなる眠りとご平安をお祈り申し上げます」

5-3 【立場別】弔電の例文

ここからは、立場別に見た弔電の例文を紹介していきます。

5-3-1 例文④ 取引先関係に送る弔電

取引先に送る文章は、「故人の功績をたたえる一文」を入れるとよいでしょう。また、言い回しも、やや堅いものにするとよくまとまります。

「貴社〇〇様の急逝に際しまして 謹んでお悔やみ申し上げます
ご生前のご高配に深く御礼申し上げますとともに そのご功績に心より敬意を捧げます」

5-3-2 例文⑤ 親戚に送る弔電

親戚相手の弔電は、「故人との関係性」によって書き方が大きく異なります。親しく付き合った相手ならば、呼びかけるような文言でまとめてもよいでしょう。

「叔母様の訃報に接し ただ驚いております
今でも瞼を閉じれば 優しかった叔母様の笑顔が思い浮かんでくるようです
叔母様の旅路が安らかであることを心からお祈りしております
ご家族様もどうぞご自愛くださいませ」

5-3-3 例文⑥ 友人に送る場合の弔電

故人と友人関係にあった場合は、故人との関わりを示す文章を入れると、受け取った人の心に寄り添えます。また、それによって「故人とどのような関係にあった人からの弔電だろうか」が相手に伝わりやすくなります。

「〇〇様のご逝去の報に接し ご家族様のご心痛いかばかりかとお察し申し上げます
〇〇様と初めてお会いしたのは六十年も前ですが 今でも目を閉じれば ともに過ごした学生時代のきらめく日のことがはっきりと思い出されます
〇〇様のご冥福を心からお祈り申し上げます」

ここで示したのは、あくまで「文例」ですので、故人との関係性や状況により表現を変える必要があります。また、思い出のエピソードなどを盛り込むと、より気持ちが伝わるでしょう。

6 まとめ

電話やメールがなかった時代において、弔電は迅速に弔意を伝えられる方法として重宝されてきました。それは令和の世になっても変わることはありません。時代の移り変わりとともに変化していった弔電は、現在では非常に多様化しています。


「弔電」を送る場合には、さまざまなマナーを守る必要があります。送り先や文章の綴り方、台紙の選び方など、確認すべき点は多岐に及びます。しっかり確認して、失礼のないような送り方を心がけ、弔意を伝えましょう。

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