- 法事・法要
法事の服装を男女年代別で解説 マナーや法事の種類別に紹介
/(株)くらしの友 商事本部
東京都23区エリアを中心に、法事や葬儀などの施行業務を担当。法事・法要・仏壇や位牌のほか、墓地や墓石など、先祖供養に関連するさまざまな知識をもつエキスパート。
法事は葬儀と異なり服装に厳格なルールはありませんが、参列時は喪服が基本です。
この記事では、法事の服装のマナーを男女や年代別、法事の種類別に詳しく解説します。
この記事で分かること
- 法事とは故人の冥福を祈る法要とその後の行事一連を指す言葉
- 法事の服装は喪服を基本とし、男女や年齢によってもルールが異なる
- 法事の喪服は回を重ねるごとに、準喪服から略喪服など簡単なものになる
目次
1 そもそも法事とは? 法要との違いを解説
法事とは、法要だけでなくその後の会食(精進落とし)やお墓参りなどの一連の行事を指す言葉です。
一方、法要とは故人の冥福を祈り、僧侶がお経を上げたり参列者が焼香を行なったりする仏教儀式です。
以上のように、法事と法要は厳密には意味が異なるものの、一般的にどちらも同じ意味合いで使われることも多くあります。法事も葬儀ほどではないものの、服装にはマナーがあるため事前に確認しましょう。
2 法事の服装はどうすれば良い? 男女年代別で解説
法事の服装は喪服を基本とするものの、男性か女性か、子供かにより気をつける点に違いがあります。それぞれ解説します。
2-1 女性の喪服
女性の場合、服装はブラックフォーマルのワンピース・アンサンブル・パンツスタイルを基本とします。トップスは長袖か5分袖、スカートであればひざ丈程度のものを着用しましょう。素足はマナー違反のため、ストッキングを履きます。靴は革(クロコダイルなどの、いかにも革製品といったものは避ける)や布製の黒のパンプスで、光沢感のあるものや、かかとが高すぎるものは適しません。
ネックレスやピアスといったアクセサリーや装飾品は付けなくても問題はありません。なお、結婚指輪はしても構わないものの、ダイヤモンドがちりばめられたような華美なデザインのものは外した方が好ましいです。
メイクは清潔感があり自然な色付きを意識し、派手なネイルをしているときは事前に落とすか、手袋を着用しましょう。髪型も清潔感を意識し、長い髪はまとめ、お焼香やおじぎをした時に顔にかからないようにします。
2-2 男性の喪服
男性の服装はブラックスーツが基本です。上着は前ボタンが一列のシングルスーツでも二列のダブルスーツでも、どちらでも構いません。ワイシャツは白無地のものを着用しましょう。パンツは裾に折り返しのないシングルを選びます。
なお、夏は半袖のシャツを着用しても良いものの、法事の最中はジャケットを着るのがマナーとされています。また、男性も結婚指輪は着けて問題ありません。腕時計は外した方が無難ですが、着けたいときはシンプルなデザインのものにしましょう。
ベルトも黒無地で落ち着いたデザインを基本とし、ネクタイは光沢のない黒無地とします。足元は紐で結ぶ黒の革靴が好ましいです。エナメル素材などは避けてください。靴下も黒無地とし、柄の入ったものや白色のものは着用を控えましょう。髪は清潔な状態に整え、長いときはワックスなどで固めます。
2-3 子供・学生の喪服
学生の場合、制服が礼服に該当するため、法事でも着用して問題ありません。なお、小学生などで制服がない場合の男女別の服装は以下の通りです。
- ・女児:黒・紺・グレーいずれかのブレザーとスカートに、白のブラウスを着用します。ワンピースでも問題ありません。
- ・男児:黒・紺・グレーいずれかのブレザーとズボンに、白のシャツを着用します。
子供の場合、法事の服装に厳格な決まりはありません。ただし、大人と同様に、柄ものやキャラクターもの、派手な色使いの服装は避けるようにします。また、足元も素足は避けてください。
3 家族のみで法事をする場合の喪服は2種類
一般的に家族のみの法事の場合、喪服は準喪服か略喪服を着用することが多くなります。ただし、生前に故人が略礼服での法事を希望していた場合などは、意向に沿って喪服を選びましょう。準喪服と略喪服の違いを解説します。
3-1 準喪服
男性ならブラックスーツ、女性ならブラックフォーマルが準喪服にあたります。正喪服の次に格式が高く、“準”とついているものの、現在では一般的に喪服といえば準喪服を指しています。法事だけでなく、お通夜、告別式でも着用が可能です。
なお、準喪服よりも格式の高い喪服が正喪服です。正喪服は基本的に喪主と三親等までの家族のみが着用し、法事であれば三回忌までとします。男性は五つ紋の黒の紋付羽織袴やモーニングコート、女性であれば五つ紋の黒無地の着物(黒喪服)やブラックフォーマルです。
3-2 略喪服
略喪服とは、黒や濃紺、グレーなど色味を抑えたダークスーツのことで、準喪服より格下の喪服となります。女性の場合、上記に加えブラックフォーマル以外のワンピースやアンサンブルでも問題ありません。なお、平服と言われた場合は略喪服を着用するようにします。
法事で着る喪服は年忌法事を重ねるごとに正喪服から準喪服、略喪服となるのが一般的です。七回忌以降は家族のみで法事を行うことが増えるため、略喪服が多くなります。法事の種類別の適した喪服は後ほど詳しく解説します。
4 喪服のマナーを男女別に紹介
喪服には故人を偲び弔意を表す意味も含まれるため、華美であるよりもマナーに沿って着こなすことが大切です。ここでは、準喪服のマナーを男女別に解説します。
4-1 男性
男性は以下の点に注意して喪服を選びましょう。
- ・スーツの生地は黒で光沢がないもの
- ・色柄のシャツは避ける
- ・基本的にはカバンは持たない
それぞれ解説します。
4-1-1 スーツの生地は黒で光沢がないもの
喪服のスーツの生地は黒で光沢がないものを選びます。同じ黒のスーツでも、着用頻度の高いビジネススーツやリクルートスーツは、軽く丈夫に仕上げるために、生地にポリエステルが含まれることがあります。同じ黒いスーツに見えても、素材にポリエステルを多く含むビジネススーツは、光沢が出て若干グレーがかっているため、正式に喪服として販売されているスーツを選びましょう。
喪服の場合、漆黒色を出すために生地はウールのものが一般的で、光沢を抑える処理が施されています。なお、ウール素材の生地は虫に喰われやすいため、保管するときは防虫剤を使うなどの注意が必要です。また、久しぶりに喪服を着るときは、穴が空いていたり、ほつれたりしていないかもよく確認しましょう。
4-1-2 色柄のシャツは避ける
ワイシャツは白無地を基本とし、色ものや柄もの、ストライプの入ったシャツなどは避けるようにしましょう。
なお、白無地であればどのようなワイシャツでも良い訳ではないため注意が必要です。例えば、白無地でもシャツのステッチに色がついているものはふさわしくありません。
また、襟元はレギュラーカラーやワイドカラーが基本です。デザイン性が高かったり、個性的だったりする襟元のものは控えましょう。襟元にボタンのついたボタンダウンシャツもカジュアルな印象になるため避けてください。
4-1-3 基本的にはカバンは持たない
男性の場合、葬儀や法事では基本的にカバン持たないことがマナーとされています。手ぶらで参列し、必要な持ち物は上着の内ポケットや、ズボンのポケットに入れましょう。
ポケットの中に物を無理に詰め込むと、膨らんでスーツのシルエットが崩れるためおすすめできません。そのため、持ち物は財布、数珠、ハンカチ、スマートフォン程度に抑えると良いでしょう。財布は二つ折りなど小型のものだとスマートです。
どうしてもカバンを持参したいときは、黒で光沢や金具などの装飾がないものにします。
4-2 女性
女性は以下の点に注意して喪服を選びましょう。
- ・アクセサリーを着けるなら真珠
- ・露出の高いデザインは避ける
- ・ストッキングは30デニール以下
それぞれ解説します。
4-2-1 アクセサリーは真珠
喪服でアクセサリーを身に着けたいときは、涙の象徴ともされる真珠を選ぶのが定番です。イヤリングやネックレスはホワイト・グレー・ブラックなど落ち着いた色合いから選びましょう。
なお、真珠であってもタブーとされる着け方があります。一つは二連タイプの真珠のネックレスです。二連タイプのものは、二重の不幸(不幸が連なること)を連想させます。もう一つはロングタイプの真珠のネックレスです。ロングタイプのものは悲しみが長引くことを連想させるため避けましょう。長さは鎖骨にかかるくらいのものが適切です。
4-2-2 露出の高いデザインは避ける
女性が喪服を選ぶ場合、必要以上に肌を露出させないことがマナーです。具体的には、襟元であればデコルテ部分が隠れる程度、袖は肘が隠れる長さ、スカート丈は起立した状態で膝が隠れる程度が目安となります。
なお、夏であってもノースリーブのワンピースなどは不適切なため十分に注意しましょう。暑い時期は、半袖や五分袖、七分袖のワンピースに通気性の良いジャケットを羽織って対応します。袖や丈の長さではなく、レースのように風通しの良い素材を選んで体温を調節しましょう。ただし、透け感の強いものは好ましくありません。
4-2-3 ストッキングは30デニール以下
ストッキングは季節を問わず黒が基本です。厚さは30デニール以下の無地のもので、柄が入っていたり、網状になっていたりするものはタブーです。
なお、喪服に厚手のタイツを合わせるのはマナー違反とされるものの、地域差や参加者の体調によっても異なります。例えば、雪国など気温が氷点下になる地域であれば60デニール程度のタイツは問題ないともされています。また、高齢者や妊婦の方は体を冷やしては問題があるため、参列する前に服装を検討しましょう。
5 法事の種類別の適した喪服
法事は初七日や一周忌などさまざまな種類があり、それぞれ適した喪服も異なります。ここでは、仏教(※)の一般的な法事に適した喪服を解説します。
※以下に記載する法要についての考え方は、浄土真宗や一部の宗派では異なります。
5-1 初七日
命日から7日目に行う法事を初七日といい、故人がちょうど三途の川に到着する日と考えられています。葬儀と合わせて執り行うことが多く、服装は準喪服で構いません。
5-2 四十九日
四十九日は故人が極楽浄土に行けるかどうか決まると共に、残されたご家族の喪が明けことから忌明け(きあけ)とも呼ばれます。法事の中でも特に重要にため、親族は正喪服か準喪服、参列者は準喪服を着用します。
5-3 百箇日
命日から100日を経過したときに行う法事を百箇日(ひゃっかにち)といい、ご家族が悲しみから卒業する意味も込めて卒哭忌(そっこくき)とも呼ばれます。通常、近親者のみで行うことが多く準喪服や略喪服を着用します。
5-4 一周忌
故人が亡くなってから1年後に行う法事で、家族は喪中の期間が終わる節目でもあります。一周忌では、親族だけでなく故人の友人や知人が参列することも多く、準喪服が好ましいでしょう。
5-5 三回忌
故人が亡くなった翌々年に行う法事が三回忌です。親族は準喪服を着用するものの、参列者は略喪服でも問題ありません。ただし、それぞれのしきたりによっても異なります。
5-6 七回忌以降
七回忌以降は家族や親族のみで法事を行うことが多く、三十三回忌で供養が終わります。七回忌以降は略喪服で問題ないとされています。
6 法事の服装に関するよくある質問
ここでは、喪主の服装や喪服の購入場所など、法事の服装に関するよくある質問に回答します。
6-1 喪主(施主)の喪服はどうする?
喪主(施主)や親族は、参列者よりも格式の高い喪服を選ぶのが通例です。そのため、喪主(施主)にふさわしいのは正喪服または準喪服です。なお、洋装・和装どちらでも問題ありません。
6-2 法事の喪服はどこで購入すれば良い?
喪服はデパートやショッピングモール、インターネット通販などで購入できます。実際に着たときの印象を確認したいなら実店舗、時間がないときはインターネット通販を利用するのがおすすめです。
6-3 喪服ではなく、私服で良いと言われたら?
私服でも問題ないと言われても、準喪服や平服で参列しましょう。なお、法事での平服はジーンズなどの普段着とは異なりますので、注意が必要です。
6-4 平服でと言われたら何を着れば良い?
平服とは略喪服を指すため軽装の喪服が該当します。黒・濃紺・グレーなど黒に近いカラーのスーツやワンピースを着用します。平服も普段着とは異なるため注意しましょう。
6-5 法事で持参した方が良いものは?
数珠の他、参列者であれば香典かお供え物、またはその両方を持参します。金額は5,000円~1万円程度が一般的ではあるものの、故人との関係性や地域によっても異なります。
詳しい持ち物を知りたい人は
法事に参列する時のマナーや持ち物とは? 服装や挨拶の仕方も解説
の記事もご覧ください。
7 法事の服装はマナーを守って弔意を表そう
法事の服装には正喪服・準喪服・略喪服の3種類があり、中でも準喪服が一般的です。準喪服も男女や年齢により細かなルールがあるため、法事に参列するときは事前に確認しましょう。喪服はマナーを守ることが弔意を表す上でも大切になります。
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