- 葬儀
危篤状態とは? 大切な人のために家族がすべきこと
/(株)くらしの友 儀典本部
2004年くらしの友入社、厚⽣労働省認定の技能審査制度「葬祭ディレクター」1級取得。
故人様とご遺族に寄り添い、大規模な社葬から家族葬まで、これまで1,000件以上の葬儀に携わる。
危篤とは、命の危機が目前に迫った状態です。危篤の連絡を受けたら、突然のことに戸惑ってしまう方は多いでしょう。
この記事では、危篤状態の定義や、危篤を宣告されたときにすべきことなどを解説します。
この記事で分かること
- 危篤状態とは回復の見込みがなく、命の危険が極めて高いと医師が判断した状態
- 大切な人が危篤状態になったら親しい人や三親等までの親族や親しい人に連絡する
- もし亡くなったときは死亡診断書の発行やご遺体の安置先と葬儀の手配が必要
目次
1 危篤の意味とは? 命の危険が高い状態
危篤とは、病気や怪我などが原因で回復の見込みがなく、死が近い状態のことです。通常、危篤状態かどうかは医師が判断します。その際に、患者の意識状態や症状、呼吸の停止などから総合的に回復の見込みがないと判断されたときに、危篤が宣言されるのです。
患者が危篤になると、病院から家族に連絡が入ります。
なお、危篤と似た言葉に重篤があります。重篤は症状が極めて重い状態を表しますが、危篤とは異なり死が目前に迫っているわけではありません。しかし、予断を許さない状態であることは確かです。
2 身内や家族が危篤状態になった場合にすべき3つのこと
病院から家族が危篤状態であると告げられたら、次の3つのことを実行しましょう。
2-1 気持ちを落ち着かせる
病院から危篤の連絡を受けると、とっさのことに慌ててしまうと思います。しかし、混乱したまま病院に向かったり、親族に連絡したりすれば、伝達ミスなどのトラブルにつながる恐れもあります。そのため、まずは深呼吸して、一度、気持ちを落ち着かせましょう。
その上で、臨終に立ち会う前に必要な準備を進めましょう。
なお、万が一臨終を迎えた場合はお通夜や葬儀などの準備も必要です。そのため、日頃から葬儀の準備方法などを調べておけば、危篤の知らせを受けても落ち着いて対応できるでしょう。
2-2 病院へ向かう準備をする
危篤の連絡を受けた場合、できるだけ早めに病院に向かうことが理想的です。しかし、着の身着のままでは今後の対応にも差し支えがあるため、以下に記載している必要な荷物を整えてから向かいましょう。
- ・携帯電話/スマートフォン
- ・充電器
- ・財布(身分証明書、現金)
- ・親族や危篤状態にある人の友人の連絡先
- ・宿泊道具(衣類/常用薬など)
なお、病院に向かうときの服装はお見舞時と同じような、清潔感のある服装であれば問題ありません。病院にそぐわない派手なアクセサリーやメイクは慎みましょう。また、危篤の時点で喪服を着ていくのは、臨終を望む行為であると受け止められる可能性があるため、避けてください。
働いている人であれば、危篤の連絡を受けたら早めに勤め先の会社に連絡しましょう。まずは上司に電話で連絡するのが望ましいですが、深夜や早朝であればメールなどで状況を伝え、勤務時間になったら電話で連絡をするとよいでしょう。
2-3 親しい人に連絡を入れる
危篤の連絡は、三親等くらいまでの親族、危篤状態の人が親しかった友人やお世話になった恩人などに行うのが一般的です。なお、連絡をするときは危篤状態であること以外に、以下の項目を相手に伝えます。
- ・連絡者(自分)の名前
- ・危篤状態の人との関係
- ・入院先の病院名・住所・病棟・病室番号
- ・自分の連絡先
連絡手段は電話以外でも問題ありません。手段の特徴や注意点は以下のとおりです。
・近しい人物であれば深夜でも早朝でも問題なし
・相手が電話に出ないときは留守番電話にメッセージを残す
・読まれない可能性も考慮して、改めて電話で連絡すると安心
・個別にメッセージを送信できる機能を使う
・誤って公に投稿しないよう注意する
3 危篤の連絡は、三親等くらいまでを目安に
親族に危篤の連絡をするときは三親等くらいまでが目安です。三親等までに該当する人は以下のとおりです。
- ・一親等:父母、子、配偶者の父母
- ・二親等:祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の兄弟姉妹
- ・三親等:叔父叔母、伯父伯母、甥姪、ひ孫
※配偶者は法律上は0親等とされます。
なお、三親等以外の親族(いとこなど)でも、危篤状態の人と特に親しかったなら連絡しても構いません。本人との関係性をふまえ、連絡する人を決めましょう。一方、三親等の親族でさえあれば、あまり交流がなかったとしても危篤の連絡はした方がよいでしょう。連絡をしないことでわだかまりが残る可能性もあるためです。
また、危篤の連絡は立ち合いを促すだけではなく、状態を伝える役割もあります。そのため、遠方に住む親族であっても連絡します。
4 危篤状態から亡くなってしまったら? 葬儀までの流れを解説
危篤状態から亡くなったときは葬儀の準備を行います。大まかな流れは以下のとおりです。
- ・医師が作成した死亡診断書の提出
- ・見積もりを葬儀社に依頼
- ・葬儀の詳細を決める
それぞれ解説します。
4-1 医師が作成した死亡診断書の提出
病院で患者が亡くなったことが確認されると、医師から死亡診断書(※1)か死体検案書(※2)が発行されます。これらの書類は人の死を医学・法律の双方から証明する書類で、火葬などの手続きの他、年金の支給を停止する手続きなどでも必要です。
家族が病院で亡くなったときは、発行のために特別な手続きをする必要はありません。ただし、死亡診断書や死体検案書の発行は有料で、費用の目安は以下のとおりです。
- ・死亡診断書:3,000~2万円
- ・死体検案書:3万~10万円
死亡診断書・死体検案書を受け取った後は、行政書類の死亡届に添付し、死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村役場に提出しなければなりません(※3)。
市区町村役場への死亡届の提出を代行してくれる葬儀社もあります。葬儀の依頼をする際に確認しましょう。
死亡届が受理されないと、火葬を法的に許可する、死体火葬許可証が発行されないため注意してください。
※1死亡診断書:生前に診察した病気などが原因で亡くなったときに発行される。
※2死体検案書:医師の診察を受けていない、または診察した結果とは異なる理由で亡くなったときなどに発行される。
4-2 見積もりを葬儀社に依頼
家族が亡くなったときは、お通夜や葬儀の準備も進めなければなりません。葬儀は規模や参列者の人数によって費用が異なるため、葬儀社に見積もり依頼を行う前に以下の点を決めておくとよいでしょう。
- ・予算
- ・参列者の人数
- ・宗教儀式の有無
- ・葬儀を行う場所
- ・訃報を知らせる人
これらが決まったら、見積もりを依頼する葬儀社を選びます。
葬儀社を決めるときは、葬儀の内容や料金が明確であること、葬儀社のスタッフが信頼できること、契約を急がせないことなどがポイントです。
また見積もり内容が届いたときは、ドライアイスやエンバーミングなど必要なサービス・オプションを選べるか確認しましょう
4-3 葬儀の詳細を決める
依頼する葬儀社が決まったら、日時や規模の他に、どのような葬儀にするかなど詳細を決めます。詳細が決まった後は、参列者へ葬儀の案内を送付しましょう。案内には以下の内容を記載するのが一般的です。
- ・故人の名前
- ・享年
- ・亡くなった年月日
- ・通夜・葬儀の日程と会場
- ・葬儀の形式
- ・葬儀の宗派
- ・喪主の名前
- ・連絡先
なお、訃報のみ送る場合は故人の氏名、享年、亡くなった年月日、連絡者の氏名、連絡先を記載します。訃報連絡に葬儀案内が含まれることも多いものの、訃報のみの場合はなるべく早めに送るようにしましょう。
訃報や葬儀の案内は、ハガキで送るのが正式ではあるものの、葬儀までの期間は数日しかないことが多く、電話やSNS、メールを利用しても問題ありません。また、亡くなった方の立場によっては、新聞の訃報欄に掲載することもあります。
5 自宅で亡くなった場合の対応は?
家族が自宅で亡くなったときの対応方法は、かかりつけ医の有無により異なります。
かかりつけ医がいる場合は、速やかに病院へ連絡します。生前24時間以内にかかりつけ医の診察または治療を受けていたときは、医師が臨終に立ち会わなくても死亡診断書の発行が可能です。診察から24時間以上が経過している場合は、医師に自宅に来てもらい、亡くなった原因が持病で間違いないと判断されれば、死亡診断書を発行してもらえます。
かかりつけ医がいないときは、最寄りの警察署に連絡しましょう。この場合、死亡診断書ではなく死体検案書により死亡が確定します。また、自宅で亡くなったときは事件性の有無について調査が必要なため、現場検証や事情聴取も合わせて行われるでしょう。調査の結果、事件性が疑われない場合に死体検案書が発行されます。
6 危篤に関する3つのよくある質問
ここでは危篤状態と言われたときに、よくある3つの疑問を解説します。
6-1 小康状態とは?
小康状態(しょうこうじょうたい)とは、悪化していた症状が若干回復し、何とか持ちこたえている状態のことです。病院では、危篤状態の人がいったん持ち直したときに使われます。ただし小康状態であっても、危機的状況であることに変わりはありません。
6-2 危篤状態から回復する確率は?
危篤状態から回復するケースはあるものの、可能性は極めてまれなこととされています。ただし、危篤の診断からどのくらいの期間で持ち直し、どの程度生きられるかなどは個人差があります。
6-3 両親が危篤になった場合の仕事の休み方は?
危篤の段階では、慶弔休暇を利用できないため、有給または欠勤となります。休暇日数は1~3日程度を目安に、直属の上司に相談して、何日か休みをもらいたい旨を伝えてください。
7 家族が危篤状態と宣告されたら落ち着いてやるべきことを整理しよう
家族の危篤を宣告されたら、まずは落ち着いて親族や親しい人に連絡し、できるだけ早く病院に駆け付けましょう。家族がそのまま亡くなってしまったときは、公的機関での手続きや葬儀の手配も必要です。日頃から依頼する葬儀社や葬儀の形式などを家族で話し合っておくと、いざというときにも落ち着いて対応できるでしょう。
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