- 終活
終活とは? 終活のメリットや注意するポイントなども解説
/(株)くらしの友 営業本部
2001年くらしの友入社、互助会部門の責任者を15年務める。終活に関連する介護・葬儀・社会保障制度など、さまざまな領域の知識をもつエキスパート。
近年、日本では終活が注目を集めています。終活は人生の終わりを見据えた活動ではありますが、必ずしもネガティブなものではありません。今後のライフプランを立てて残りの人生をより充実させることが終活の本質です。
この記事では終活の意味や目的、終活でやるべきこと、終活をするメリットなどについて解説します。
この記事で分かること
- 終活は人生の終わりを見据えて今後のライフプランを計画すること
- 終活では資産や私物の整理、葬儀の準備、終活ノートの作成などを行う
- 終活をすることで残りの人生をより充実したものにできる
目次
1 終活とは? 終活の意味や目的
終活とは、自身の人生の最期を見据えて行う活動や準備の総称です。具体的には今後の医療や介護の意思決定、遺言書の作成、資産整理、葬儀や墓地の予約といった行動が該当します。人生の終わりに向けて積極的に準備を進めるとともに、残りの人生の過ごし方を決定すること、それが終活です。
近年は終活への関心が高まっていますが、その背景には日本の少子高齢化があります。高齢者が増加する日本において、医療や介護を担う若い人材の不足は、深刻な問題です。また、年金を始めとする社会保障制度への不安もささやかれています。現在では老後を安心して過ごすためには事前の準備が重要という考え方が主流です。
終活は人生の終わりに備えることを意味しますが、その活動は決してネガティブなものではありません。残りの人生のライフプランを考えることは、最期まで自分らしく生きるための方法を考えることでもあります。終活を通じて自分の死を前向きに捉えられるようになれば、残りの人生をより充実させられるでしょう。
2 終活を始めるタイミングは?
終活を始めるタイミングに決まりはありません。ただし、終活には、資産の整理や終活ノート(エンディングノート)の作成など、時間と気力を要する作業もあります。また、慎重な判断が求められるケースもあるため、心身ともに健康なうちから始めるのが理想です。
近年では20代・30代から終活に取り組んでいる人も見られます。病気や不慮の事故は誰にでも訪れる可能性があるため、若いうちから終活ノートを作成しておくと良いでしょう。また、将来を見据えて生命保険に加入したり、断捨離で不要な私物を処分したりすることも立派な終活になります。
40代・50代は人生も折り返しに入るため、より老後や人生の終わりを意識しやすくなる年代です。年齢を重ねると健康の維持も難しくなっていくため、活力や判断力が鈍る前に終活に取り組むことをおすすめします。終活ノートを作成する他、保険の見直しや葬儀の生前予約なども検討しておきましょう。
エンディングノート(終活ノート)の作り方が知りたい方はこちら
3 終活で準備をすべき4つのこと
- 1.身辺整理をしておく
- 2.保険の確認や見直しをしておく
- 3.葬儀の準備をしておく
- 4.不動産がある場合は相続や売却などを確認しておく
自身がいなくなった後に、残された家族の負担を軽減できるよう、終活でやるべきことをしっかり押さえておきましょう。
3-1 身辺整理をしておく
終活ですべきことの1つ目は身辺整理です。身内が亡くなったときの遺品整理は、残されたご家族にとって大きな負担になります。肉体的な負担はもちろん、故人の思い出を処分することは精神的にも辛い作業です。遺品処分を業者に依頼したとしても金銭的な負担が生じます。
家族の負担を考慮し、終活では断捨離で私物を仕分けし、不要品は処分するようにしましょう。私物を整理することで将来的な遺品整理の負担を軽減できます。
3-2 保険の確認や見直しをしておく
2つ目は保険の確認・見直しです。生命保険のように長期間にわたって加入する保険では、ライフステージの変化によって月々の支払額や保障内容が現状に見合っていない場合があります。終活では、現在加入している保険を確認し、必要に応じて内容の見直しを実施しましょう。
また、終活が注目される近年では、高齢者でも簡単な審査で加入できる終活保険なども登場しています。自身の葬儀費用の備えに不安がある場合は、終活を始めるタイミングで新たに保険に加入することも検討しましょう。
3-3 葬儀の準備をしておく
3つ目は自身の葬儀の準備です。葬儀の準備として、まずは葬儀の形式を決めておきましょう。葬儀には一般葬や家族葬などさまざまな形式があります。葬儀をどのようなスタイルで行いたいか、また葬儀に誰を招いてほしいかなど、家族に自身の意向を伝えておくことが大切です。
さらに、自身の葬儀の費用を工面しておくことも大切です。葬儀費用を工面する方法としては生命保険や終活保険、もしくは冠婚葬祭互助会への加入などがあります。また、葬儀の生前予約をしていれば、自身の意向を葬儀に反映させられるだけでなく、費用負担の軽減も可能です。
3-4 不動産がある場合は相続や売却などを確認しておく
4つ目は不動産の相続・売却の確認です。持ち家などの不動産は、遺産相続の中でも特に扱いが難しいと言えます。不動産の相続が原因で家族間でのトラブルに発展することもあります。終活では不動産を誰に相続するのか、または売却するのかなど、自身の考えを明確にして遺言状として残しておきましょう。
4 終活する4つのメリット
終活をする主なメリットとして挙げられるのは以下の4つです。
- 1.家族の負担を減らせる
- 2.死に対しての不安を減らせる
- 3.家族間でのトラブルを防げる
- 4.残りの人生がより豊かになる
それぞれのメリットについて解説していきます。
4-1 家族の負担を減らせる
終活をする1つ目のメリットは、自身の死後に残された家族の負担を軽減できることです。身内が亡くなった場合、残されたご家族は喪失感の中でお通夜や葬儀の準備を進めなければなりません。精神的に疲弊している状態で葬儀を一から準備することは大変な負担です。
しかし、終活の一環として事前に葬儀の意向を伝えている、もしくは葬儀の生前予約をしていれば、家族は大変な状態の中でもスムーズに葬儀を執り行うことが可能です。さらに、生命保険や終活保険、冠婚葬祭互助会などに加入していれば、金銭的な負担も軽減できます。
4-2 死に対しての不安を減らせる
2つ目のメリットは、自身の老後の生活や死に対する不安を軽減できることです。人は年齢を重ねるごとに老後の生活や人生の終わりに不安を抱きやすくなります。しかし、死に関する話題は縁起が悪く、あまり話題にしたくないものです。その結果、誰にも相談できず、不安ばかりが大きくなってしまうこともあるでしょう。
終活とは、今までの人生を振り返りながら、今後どのように生きていくか、そしてどのように人生の終わりを迎えるかを考えることです。それにより、今まで漠然としていた死に対する不安が解消されることもあります。少なくとも、終活を通じて残りの人生がより充実したものとなり、前向きな気持ちで年齢を重ねられるようになるでしょう。
4-3 家族間でのトラブルを防げる
3つ目のメリットは、家族間でのトラブルを防げることです。死後は、家族や親族の間で葬儀の形式に関する意見の対立や、遺産分配に関連する金銭トラブルが発生してしまうことがあります。
原則として、葬儀の形式や財産の分配で尊重されるのは故人の考えです。終活を通じて葬儀の意向や財産の分配方法などを明確にしておけば、トラブルを招くことなくスムーズに各種の手続きが行われるでしょう。専門家が作成する公正証書遺言として遺言状を残しておけば、トラブルのリスクをさらに低減できます。
4-4 残りの人生がより豊かになる
4つ目のメリットは、残りの人生をより豊かに充実させられることです。年齢を重ねると、体力の衰えや病気のリスク、経済的な問題などにより、老後の生活に不安を感じることが少なくありません。
終活はこれからの人生でやりたいことや、どのように過ごしていきたいかを再認識するための手段でもあります。自身の人生の終わりまでの道筋を明確にすれば、残された時間を有効活用できるようになり、年齢を重ねることに前向きになれるでしょう。終活は、人生の最期まで自分らしく生きるための重要なプロセスでもあるのです。
5 終活の準備で注意するポイント
終活は闇雲に進めても意味がありません。終活のメリットを生かせるよう、適切に準備を進めることが大切です。ここでは終活の準備で注意すべきポイントを解説します。
5-1 優先順位を決めて行動する
終活は、優先順位を決めて行動しましょう。終活は今まで歩んできた人生を振り返り、これからの人生のライフプランを決める作業です。その作業は決して簡単ではなく、やるべきことも多岐にわたります。そのため、準備に優先順位をつけて、できることから少しずつ進めていくことが大切です。
優先順位をつける際は、年齢を重ねてもできるかを基準に考えるのも良いでしょう。例えば、介護施設の見学や保険の見直し、遺産の分配方法など、体力や判断力が求められる準備は早い段階から進めておくことをおすすめします。
5-2 分からない場合は必要に応じて専門家に相談する
終活を進める中で分からないことや不安なことがあれば専門家に相談しましょう。特に老後の資金形成や遺産相続については専門的な知識も必要であり、自身で判断するよりも専門家に相談した方が確実です。専門家の意見も参考にすることで、より充実した終活を行えます。
【終活の相談ができる専門家】
- ・老後の資金計画・保険の見直し:ファイナンシャルプランナー
- ・相続税対策:税理士
- ・遺言状の作成:弁護士・司法書士
なお、くらしの友では定期的に終活についてのイベント・セミナーを実施しております。お近くの斎場にてご参加ください。
5-3 家族と準備事項を共有する
終活は自分一人で進めるのではなく、家族にも相談や情報共有をするようにしましょう。終活は自分だけのためにするものではありません。残される家族を想い、その負担を軽減することも終活の目的です。自身の意向だけでなく家族の意向も柔軟に取り入れることを心掛けましょう。
また、作成した終活ノートが家族に見つけられないという事態も考えられます。作成した終活ノートや遺言状は、死後に家族が内容を把握できる状態にしておきましょう。
6 終活に関するよくある質問
ここでは、終活に関するよくある質問をご紹介します。終活を始めるかお悩みの方は以下の内容も参考にしてみてください。
6-1 終活の定義とは?
一般社団法人終活カウンセラー協会では、終活の定義を“人生の終焉を考えることを通じて、自分を見つめ、今をより良く自分らしく生きる活動”と定義しています。(※)終活は決して死に支度ではなく、今を、そして今後の人生をより楽しく豊かに過ごすための活動です。
6-2 終活ノート(エンディングノート)とは?
終活ノート(エンディングノート)は、その名のとおり終活の一環として作成するノートであり、自分の考えや家族への想いを記しておく備忘録です。正式な遺言状ではありませんが、残された家族が葬儀を始めとする各種の手続きをする際に活用されます。
6-3 おひとりさまでも終活は必要?
終活は残りの人生を豊かにするための活動であるため、家族の有無を問わず取り組む必要性が高いと言えます。葬儀の形式や資産の処分について希望がある場合は、遺言状や終活ノートに記しておきましょう。
6-4 終活に自治体支援があるのは本当?
終活が推奨される現在では、独自で終活支援サービスを提供している自治体もあります。具体的には住民向けの終活相談窓口の設置、終活ノートの配布、終活セミナーの実施などです。住民であれば無料でサービスが受けられるケースもあるため、お住まいの自治体に確認してみましょう。
7 終活は人生の終わりのための準備~ポジティブに進めよう~
終活は自身の人生の終わりに備える活動であると同時に、残りの人生をより豊かなものにするための活動でもあります。ポジティブな気持ちで自身の最期と向き合うことで、終わりを迎える不安も和らぐでしょう。
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