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エンディングノート(終活ノート)の作り方とは? 選び方や書く内容など解説
/(株)くらしの友 営業本部
2001年くらしの友入社、互助会部門の責任者を15年務める。終活に関連する介護・葬儀・社会保障制度など、さまざまな領域の知識をもつエキスパート。
自分史や財産の状況、葬儀の希望、友人・家族に宛てたメッセージなど人生の最後に必要な情報をまとめたノートをエンディングノート(終活ノート)といいます。映画をきっかけに話題となり、現在では終活の一環として取り組む方も多いです。
この記事では、エンディングノートとは何か、選び方や記載する項目や内容、作成時の注意点などについて詳しく解説します。
この記事で分かること
- エンディングノート(終活ノート)とは、自分が亡くなったときのために、人生の総括や家族・友人への言葉や希望などをまとめたノート
- 市販のエンディングノートにはさまざまなものがあり、使用する目的に合わせて選べる。書店や通販、インターネットなどで入手できる
- 「エンディングノートの保管場所を家族に知らせておく」「銀行口座の暗証番号などは書かない」「法的拘束力はないものと理解する」の3点に注意する
目次
1 エンディングノートとは? 遺言書との違い
エンディングノート(終活ノート)とは、自分が亡くなったときのために、人生の総括、家族・友人への言葉や希望などをまとめたノートのことです。なお、法的効力がない点が遺言や遺言書と大きく異なります。2011年に公開された映画『エンディングノート』をきっかけに話題となり、現在では終活の一環や人生を見つめなおす機会として広く普及しています。
2 エンディングノートの3つのメリット
エンディングノートには法的拘束力がありませんが、その分、自分の思いを自由に書き、整理できます。エンディングノートの主なメリットは、以下の3点です。
- ・家族に思いを伝えたい内容を整理できる
- ・人生の振り返りがいつでもできる
- ・備忘録としても利用できる
それぞれについて解説します。
2-1 家族に思いを伝えたい内容を整理できる
1つ目のメリットは、家族に思いを伝えたい内容を整理できる点です。ノートに具体的に記入することで、自分の死後、残された家族にどのような思いを伝えたいか、または葬儀の方法やペットの世話などに関して、どのような希望があるかを整理できます。家族一人ひとりに対しメッセージを残せる点もメリットといえるでしょう。
2-2 人生の振り返りがいつでもできる
2つ目のメリットは、人生の振り返りがいつでもできる点です。エンディングノートは何歳から書き始めてもよいものの、40~60代になってから、子どもの結婚や自身の退職など人生の節目を迎えた年齢で書き始めるケースが多いようです。早めに人生を振り返れば、残された時間をどのように過ごしたいかを明確にする上でも役立ちます。
2-3 備忘録としても利用できる
3つ目のメリットは、備忘録としても利用できる点です。エンディングノートには、資産状況やパソコンのパスワード、友人の住所・電話番号なども記載できます。歳を取ると忘れやすくなる内容を早めに整理できるため、備忘録として活用可能です。
3 エンディングノートの作り方
エンディングノートの作り方には決まった方法はありません。作り方に迷うときは、以下の手順で進めるのがおすすめです。
- 1.エンディングノートの作成目的を決める
- 2.エンディングノートを選ぶ(または項目を考える)
- 3.記載しやすいところから書く
- 4.状況に合わせ随時変更する
4 エンディングノートの選び方
エンディングノートの選び方には以下があります。ベストなものが見つからなければ、複数のノートを作成してもよいでしょう。
- ・使用する目的に合わせて選ぶ
- ・機能面を重視して選ぶ
- ・解説やコラム付を選ぶ
4-1 使用する目的に合わせて選ぶ
エンディングノートの使用目的が自分史を残すことか、それとも万が一に備えるためか、明確にしてから適したノートを選びましょう。
4-1-1 人生の振り返りには自分史が書けるものを選ぶ
一度立ち止まって人生を振り返りたいなら、自分史が書けるタイプがおすすめです。項目に従い記載を進めることで、忘れていた夢や希望を思い出すきっかけにもなるでしょう。
4-1-2 家族との共有重視なら葬儀・相続の項目が充実したものを選ぶ
万が一に備え、自分の死後の希望を家族に伝えたいなら、介護・延命治療・葬儀・相続などの項目が充実したものがおすすめです。事前に整理しておけば、親族間のトラブル予防にも役立ちます。
4-1-3 大切な人への思いを残すならメッセージ項目が充実したものを選ぶ
家族や友人へ、普段は言えなかった思いを伝えたいときは、メッセージの記入スペースが充実したものがよいでしょう。各個人に伝えたいときは、個別に記入項目があるものがおすすめです。
4-1-4 備忘録として使用するなら銀行口座や保険の項目が充実したものを選ぶ
備忘録用にエンディングノートを作りたいなら、銀行口座・保険・金融資産・パスワードなど、自分にしか分からない情報をまとめられるものにしましょう。
4-2 機能面を重視して選ぶ
エンディングノートには、ページ数を増やせるタイプや、写真や手紙を保管できるポケット付きのタイプなど、機能面に優れた製品も多くあります。記載項目だけでなく、目的に合った機能があるかどうかも確認のポイントです。
4-3 解説やコラム付を選ぶ
エンディングノートを初めて書くときは、自由度の高いものより、解説やコラムが充実したものがよいでしょう。必要な項目や書き方が分かれば、迷わずに作成を進められます。
5 エンディングノートはどこで買える?
エンディングノートは大型書店の相続コーナーや、通販で購入できます。またWebサイトでダウンロードできるものもあるため、インターネットで探すのもおすすめです。
6 エンディングノートに書く内容10項目
エンディングノートは基本的に自由に書いてよいものですが、これから紹介する10項目を押さえておくと、万が一のときも家族の負担を軽減できます。それぞれ解説します。
6-1 自分の基本情報
自分の正確な基本情報は、残された家族が手続きをするときに必要です。まずは、以下の情報をまとめるところから始めると書きやすいでしょう。
- ・氏名(フルネーム)
- ・生年月日
- ・現住所
- ・本籍地
- ・家族構成
- ・血液型
- ・趣味・特技
- ・よく行く場所
6-2 財産や資産
財産や資産は、残された親族が相続を受けるときに重要な項目です。プラスとなるものだけでなくローンなどの負債なども含めて全て記載し、付随する必要書類の場所を分かるようにしておくとよいでしょう。
- ・現金:保管場所
- ・預金:通帳、キャッシュカード
- ・不動産:登記簿謄本など
- ・生命保険:契約書
- ・年金:年金手帳、年金証書など
- ・有価証券:取引報告書など
- ・負債:契約書など
なお、詳しくは後述しますが、銀行口座の暗証番号などは書かないようにしましょう。
6-3 身の回りのこと
自分の死後に世話をしてほしい対象がある場合は、それらの情報をまとめておきましょう。特に、ペットは名前や年齢、性別、ペット保険の加入状況、食べ物の好き嫌い、かかりつけの動物病院や獣医など、必要な情報をくまなくまとめておくことが大切です。
6-4 家族や親族・友人への感謝
人生の最期の迎え方は人それぞれです。不慮の事故や病状の悪化など、伝えたいときに感謝の言葉を述べられないケースもあります。万が一に備えるなら、家族や友人への感謝の言葉も書いておくのがおすすめです。
6-5 医療や介護に関する希望
認知症などの病気になれば、医療や介護の希望を伝えられないかもしれません。事前にノートにまとめておくと自分の意思を伝えられ、ご家族の心理的負担を減らせるでしょう。
6-6 葬儀やお墓
生前から、葬儀やお墓に関する希望をまとめておきましょう。具体的には以下のとおりです。
- ・葬儀の内容
- ・遺影用の写真
- ・葬儀社や火葬場の希望
- ・喪主の希望
- ・葬儀に呼んでほしい人
- ・訃報を知らせてほしい人
- ・お墓の希望
6-7 相続・遺言書
エンディングノートには、遺言書の有無も記載しておきましょう。また、遺言がある場合は、保管場所や遺言書の種類(秘密証書遺言、公正証書遺言、自筆証書遺言)についても明記しておくとスムーズです。
6-8 家族へのメッセージ
家族に伝えたいメッセージがあれば記載しましょう。例えば、妻に対して長年謝りたかったことなど、感謝以外にも伝えたいことは多くあるかもしれません。自分の気持ちと向き合い、整理しましょう。
6-9 親しい友人の連絡先
親しい友人や知人、お世話になった人などの連絡先も、エンディングノートにまとめておくとよいです。これらの情報は訃報を送るときにも必要となるため、氏名、住所、電話番号、関係性を記載しておくと、家族にも分かりやすいでしょう。
6-10 パソコンやスマホなどのIDやパスワード
パソコンやスマホ、WebサイトなどのIDとパスワードをまとめておくと、デジタル遺産があったときも対処しやすくなります。また、定期購入しているものなどがあれば、それらの解約に必要な情報も記載しておきましょう。
7 エンディングノートに関する3つの注意点
次に、エンディングノートを活用するための3つの注意点を解説します。
7-1 エンディングノートの保管場所を家族に知らせておく
エンディングノートに伝えたいことをまとめても、家族が見つけられなければ意味がありません。保管場所は事前に共有しておきましょう。
7-2 銀行口座などの暗証番号は書かない
第三者の手に渡るリスクを考慮し、銀行口座の暗証番号は書かないようにしましょう。ノートとは別に紙を用意し、そこへまとめておくなど、不正利用を防止する対策を講じておきましょう。
7-3 遺言書とは違い法的な拘束力がない
エンディングノートはあくまでも自分の希望をまとめただけのものであり、法的な効力はありません。法的に有効な方法で相続などを定めておきたいときは、別途、遺言書を作成しましょう。
8 エンディングノートの書き方 4つのコツ
ここで、エンディングノートの基本的な書き方となる4つのコツを紹介します。
8-1 書きやすい項目から書く
自分の情報や友人の住所など、深く考えずに記入できるところから書き進めましょう。ノートの1ページ目から全ての項目を埋めようとすると大変です。簡単なページからまずは書き始めることが大切です。
8-2 空欄があっても気にせずに書く
書きやすい項目から書いていくと、空欄が気になるかもしれません。とはいえ、エンディングノートは急いで埋めればよいものではないため、気にせず、考えや気持ちがまとまったときに記入しましょう。
8-3 今の気持ちを書く
書くことが思い浮かばないときは、一度、今の気持ちを書き出すのもおすすめです。もちろん気持ちが変わった際は書き直しても問題ないため、思い付いたことを書いてみましょう。
8-4 家族と共有しながら書く
残された親族の役に立つ情報を書きたいなら、家族にどのような情報が必要か確認しながら書いてもよいでしょう。実際に聞いてみるとすると、ノートの項目にはないような情報を必要としていることが分かるかもしれません。
9 エンディングノートを書き終わったらどうすればいい?
書き終わったエンディングノートは、防犯性に優れ、かつ、家族が分かりやすい場所に保管しましょう。例えば自宅内の本棚や、鍵付きの引き出しなどがおすすめです。
10 自分・家族どちらのためにもエンディングノートを活用しよう
エンディングノートとは、自分史や資産情報など、人生の最期に向けた段取りを立てる上で役立つノートです。書き方は自由であるものの、必要項目が整った専用のノートも販売されているため、活用してもよいでしょう。
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