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【パーツ別】葬儀でのメイクの基本マナー メイクの注意点とコツ
/(株)くらしの友 儀典本部
2004年くらしの友入社、厚⽣労働省認定の技能審査制度「葬祭ディレクター」1級取得。
故人様とご遺族に寄り添い、大規模な社葬から家族葬まで、これまで1,000件以上の葬儀に携わる。
葬儀に参列する際、女性はどのようなメイクをすればよいのか悩むところです。急な訃報とはいえ、最低限のメイクは必要ですが、かといってばっちりメイクをするとマナー違反になってしまう恐れがあります。故人の家族や他の参列者から非常識に思われないよう、メイクのマナーや注意点をしっかり押さえておきましょう。
本記事では、葬儀の基本的なメイクマナーと、パーツ別の葬儀時のメイクのポイントについて解説します。
この記事で分かること
- 葬儀ではノーメイクは避け、ベースのみの控えめなメイクを心掛ける
- 葬儀に適したメイクは「薄め」「落ち着いた色味」「自然な仕上がり」
- 急な葬儀でメイクを直すときは、ティッシュで軽く落としパウダーなどでマットに仕上げる
目次
1 葬儀の基本的なメイクマナーを解説
葬儀に参列する際に押さえておきたい、メイクマナーの基本を2つご紹介します。
1-1 ノーメイクは避ける
訃報は急に訪れるものなので、報せを受けた側は慌ただしく駆けつけることになるでしょう。しかし、急な話だったからといって、まったくメイクをせずに参列するのはマナー違反です。
葬儀はフォーマルなセレモニーなので、ノーメイクで参列すると「常識がない」「身だしなみが整っていない」とみなされる可能性があります。近年は新型コロナウイルス感染症の影響により、マスクを着用して葬儀に参列する方も多いですが、顔の半分が隠れていてもノーメイクで参列するのは避けましょう。
なお、中学生や高校生など、学生の場合はノーメイクで参列しても大丈夫です。ただし、大学生の場合はノーメイクよりも控えめなメイクで参列した方がよいかもしれません。特に二十歳を超えている場合は大人と同じく薄くメイクをした方がよいでしょう。
1-2 片化粧(かたげしょう)をする
片化粧とは、喪服を着用する女性が施す控えめなメイクのことです。薄化粧に近い意味合いで、全体的に控えめで、紅を引かない化粧のことを指します。
基本はベースメイクのみとし、しっかりめのアイラインや濃い口紅を引くのはNGです。ベースメイクもラメなどが入った派手なものは控え、できればマットな仕上がりになるものを選ぶのがおすすめです。葬儀の主役はあくまで亡くなった方であり、参列者が派手なメイクをして目立つことはマナー違反となるので注意しましょう。
なお、葬儀の場で求められる薄化粧と、薄化粧に見せるナチュラルメイクは似て非なるものです。ナチュラルメイクはそもそも、濃いメイクに見せないテクニックの一種なので、メイクそのものはしっかり施します。
一方、葬儀の片化粧はメイクそのものを薄く、控えめにする必要があるので、葬儀に行く際にナチュラルメイクを施すのは避けましょう。
2 【パーツ別】葬儀時のメイクをそれぞれ紹介
葬儀に参列する際にふさわしいメイクの仕方をパーツ別に紹介します。
2-1 ベースメイク
葬儀時のベースメイクは薄付きにし、色味を控えるのがポイントです。基本は化粧下地にファンデーションを重ねますが、ファンデーションはツヤが出やすいリキッドタイプよりも、落ち着いた仕上がりになるパウダータイプを使用するのがおすすめです。リキッドタイプを使用する場合は、上からパウダーを乗せてツヤ感を抑えるとよいでしょう。
なお、ラメの入ったファンデーションの使用は、派手な印象を与えるのでNGです。ファンデーションを薄付きにする分、カバー力が不安という方は、気になる部分にコンシーラーを使いましょう。ベースメイクで使用するのは基本的にこの3アイテムのみで、ハイライトやチークは使用しません。
ただ、血色が悪く見える場合はうすだいだい色に近いチークを使用し、健康的に見せる配慮をしてもよいでしょう。
2-2 アイメイク
アイメイクもベースメイク同様、薄めに仕上げるのが基本です。アイシャドウはブラウンやベージュなど落ち着いたベーシックカラーを選ぶのがポイントです。濃い色合いや派手なカラーを使用するのは控えましょう。パールやラメの入ったものの使用はNGです。
アイラインやマスカラは基本的に使用しません。これらは目を大きく見せるためのアイテムなので、目立つ必要のない葬儀では不要なものとされています。「アイラインがないとノーメイクに見られるかも」と不安な場合は、まつげの隙間を埋める程度なら使用してもOKです。厚塗りしたり、必要以上に太く描いたりしないよう注意しましょう。
また、葬儀ではふいに涙が出ることもあり得るので、水濡れに強いウォータープルーフタイプのアイラインを使用するのがおすすめです。なお、つけまつげに関しては基本的に不要ですが、まつげエクステを施していて簡単に外せない場合はそのまま参列してもかまいません。
ただし、長さのあるものやカラー付きのものは目立つので、できれば外した方が無難です。
2-3 口元
片化粧では紅は引かないのが基本ですが、近年は色味を抑えたものであれば口紅を使用してもよいという風潮が広がってきています。口紅を塗る場合は、ベージュ系のマットな質感のものを使用しましょう。赤系の色は結婚式など慶事をイメージするのでNGです。
また、ラメやパールが入ったものや、ツヤの出るグロスなどを使用するのは控えます。口紅ではなくカラーリップを使用する場合も同様です。以上の注意を守れば葬儀に口紅を施しても問題ありませんが、地域によっては紅を引かない本来の片化粧を重視しているところもあります。
そういった地域では、たとえベージュ系であっても口紅を引いていること自体がマナー違反とみなされる可能性があるので、当該地域で初めて葬儀に参列する場合は、事前に周囲の人か、あるいは葬儀社に尋ねて確認しておくことをおすすめします。
2-4 眉毛
眉毛はなるべく自然な感じに仕上げるのがポイントです。アイブロウを使う場合は濃い色を使ったり、厚塗りしたりするのは避け、薄付きを意識しましょう。眉の太さに関してはあまり気にする必要はありませんが、アイメイクを控えめにしているので、太眉にするとアンバランスな仕上がりになってしまう恐れがあります。
いつもどおりの眉に仕上げるよりも、アイメイクとのバランスを考慮し、控えめに整えた方がよいかもしれません。
アイブロウはラインがしっかり出るペンシルタイプよりも、ナチュラルな印象に仕上がるアイブロウパウダーがおすすめです。眉の色は髪色に合わせて選ぶのが基本とされていますが、葬儀ではなるべく落ち着いた色合いを選ぶのがポイントです。黒髪の場合はワントーン明るめのダークグレイなどを選ぶと、顔がくすんで見えにくくなります。
2-5 ネイル
ネイルは華やかなイメージがあるので葬儀ではNGと思われがちですが、絶対にしてはいけないというわけではありません。色味の落ち着いたベージュ系のネイルなど、うすだいだい色に近い色合いであれば、葬儀にネイルをしても問題ないとされています。
ただ、パールやラメの入ったものや、ツヤ感のあるものは避けた方が無難です。使用する色も一つに留め、ネイルアートなどは控えましょう。また、ネイルをするのなら剥げや欠けに注意が必要です。爪をきれいに整える時間がなく、剥げや欠けが気になる状態なら、除光液で素爪に戻して参列した方がよいでしょう。
もしジェルネイルを施していて、すぐに落とせないという場合は、薄手の黒い手袋を着用して爪を隠すという方法もあります。素材はレースや綿、ナイロンのものを選ぶのが基本です。本革など殺生を連想する素材は葬儀にふさわしくないので注意しましょう。
一方、ペディキュアについては靴で隠れてしまうので、わざわざ落とす必要はありません。ただし、和室など靴を脱いで上がる式場で葬儀を行う場合は注意が必要です。女性は葬儀では薄手の黒いストッキングを着用するので、ペディキュアが透けて見えてしまう可能性があります。ストッキングの上から悪目立ちしなければ問題ありませんが、色やデザインなどが透けて見える場合は落とした方がよいでしょう。
2-6 その他の注意点
メイクやネイルの他にも、葬儀ではアクセサリーや髪型のマナーに注意する必要があります。その他の注意点については、葬儀に適した髪型は?男女別のマナーや髪色を徹底解説で詳しく説明しているので、参考にしてください。
3 急な葬儀に参列するとなったときの対処法
お通夜や葬儀は結婚式とは異なり、前もって予測できないものです。そのため人によっては、職場などから直接お通夜や葬儀の式場に駆けつけなければならないこともあります。その際に困るのがメイク直しです。
前述のとおり、葬儀では片化粧が基本なので、職場に行くときのしっかりメイクのまま参列するとマナー違反とみられる可能性があります。かといって、一度途中でどこかに立ち寄ってメイクを直している時間がないという場合は、ティッシュを使ってメイクを軽く落としておきましょう。
ティッシュを広げて気になる部分を押さえれば、濃いめのメイクやラメ・パールなどをある程度取り除くことができます。ただしティッシュでこするとメイクが崩れて、仕上がりが悪くなってしまう可能性があるので要注意です。ツヤ感のあるファンデーションを使用している場合は、上からフェイスパウダーを載せてマットに仕上げると派手な印象を与えずに済みます。
4 葬儀のメイクに関するよくある質問
葬儀のメイクに関する疑問・質問を3つご紹介します。
4-1 葬儀のメイクでカラーマスカラはマナー違反になる?
カラーマスカラはファッション性が強いアイテムなので、葬儀に付けていくのはマナー違反です。黒やクリアカラーのマスカラでも派手な印象を与えてしまう恐れがあるので、葬儀のメイクではマスカラ自体の使用をやめた方がよいでしょう。
4-2 葬儀でのカラーコンタクトはマナー違反になる?
視力矯正用のクリアレンズであれば問題ありませんが、カラーコンタクトレンズはカラーマスカラ同様、ファッション性が高いアイテムとみなされます。葬儀には基本的におしゃれは不要なので、カラーコンタクトレンズは使用しない方がよいでしょう。
4-3 高校生は葬儀でメイクをした方がよい?
中学生や高校生は基本的にノーメイクで参列するのが望ましいとされています。学生の場合は制服で参列するケースも多く、制服に化粧をするのは似合わないと思われる風潮もあります。どうしてもメイクをしたい場合は、薄化粧を心掛けましょう。
5 葬儀では控えめな薄化粧をするのがマナー
葬儀では、全体的に控えめで紅を引かない片化粧が基本とされています。近年は「ベージュ系なら口紅やネイルもOK」など、以前よりややマナーが寛容になった部分もありますが、葬儀は故人が主役なので、参列者は慎ましくお見送りできるよう、控えめなメイクを心掛けることが大切です。
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