- 葬儀
10人程度の家族葬にかかる費用とは? 相場から費用を抑える方法まで解説
/(株)くらしの友 儀典本部
2004年くらしの友入社、厚⽣労働省認定の技能審査制度「葬祭ディレクター」1級取得。
故人様とご遺族に寄り添い、大規模な社葬から家族葬まで、これまで1,000件以上の葬儀に携わる。
一般的な葬儀よりも参列者の人数が少ない葬儀として、家族葬が挙げられます。近年は血縁や地縁が希薄になったことや、高齢化の進行などにより、家族葬が選ばれることが増えています。しかし、家族葬とはそもそもどのような葬儀なのでしょうか。また家族葬の場合はどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
この記事では家族葬の定義や、10人程度で執り行う家族葬の費用相場、費用を抑える方法などを解説します。
この記事で分かること
- 家族葬は10人程度の参列者でも執り行える
- 参列者が10人程度の家族葬費用は約100~150万円
- 家族葬を執り行う際は事前に親族に了承を得ておく
目次
1 そもそも家族葬とは?
家族葬に具体的な定義はありません。一般的に家族葬に参列するのは、故人の家族や親族、親しかった友人や知人です。従来の葬儀のように仕事の関係者やご近所の方などに広く知らせるのではなく、とくに関係の深かった人のみが参列するため、そのため、比較的小規模な葬儀になります。家族葬であっても、一般葬と同じく通夜と告別式を2日にわたって執り行うのが一般的です。
家族葬と混同されることがあるのが密葬です。密葬は故人の家族をはじめとして、限られた参列者だけで執り行います。その後、弔問客を招き本葬やお別れ会を執り行います。
家族葬を準備する際のコツについては下記で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
家族葬について、詳しくはこちらをご覧ください。
2 10人で家族葬はできる?
前述のとおり、家族葬に具体的な定義は無く、参列する人数に制限は設けられていません。たとえば、とくに近親者中心の場合、参列者が10人程度ということもあります。その場合、以下のような参列者が考えられます。
- ● 故人の配偶者
- ● 故人の兄弟姉妹
- ● 故人の子どもとその配偶者
- ● 故人の孫
もちろん、誰を呼ぶかに決まりはありません。そのため、故人の希望があれば尊重した上で、誰を呼ぶのかを話し合いましょう。なお、途中から参列者が10人以上になる場合は、手配する斎場の広さの兼ね合いから追加料金がかかる場合もあるため、予算を踏まえた上で相談することをおすすめします。
3 10人程度の家族葬の費用と内訳
家族葬は一般的な葬儀よりも費用を抑えられることもあります。では10人程度の家族葬となると、どれくらいの費用が必要なのでしょうか。ここでは10人程度の家族葬で発生する費用と内訳を解説します。
3-1 費用総額相場:平均100~150万円程度
10人程度の家族葬にかかる費用は約50万~150万円です。家族葬の費用にかかる金額に幅があるのは、選ぶ家族葬プランやオプションによる影響が大きいためです。
家族葬の平均費用やメリットなどは、下記で詳しく解説しています。
3-2 費用内訳
10人程度の家族葬で発生する費用の内訳は次のとおりです。
● 搬送費用
● 葬儀式場使用
● 葬祭用品費用
● 運営費用
● 火葬費用
● 飲食費用
● (会葬礼状費用)
家族葬にかかる費用の内訳は、下記で詳しく解説しています。
告別式から火葬までを1日で終える一日葬の場合、抑えられる費用は主に「飲食費用」です。一日葬の場合であっても、その他の項目は2日間にわたって葬儀を行う場合と同様に費用がかかりますので注意が必要です。
(基本的に公営の葬儀式場は2日間貸し出しの料金です。1日葬の金額設定がある式場でも、弊社の場合、葬儀前日から式場を設営し遺体を安置するため、2日分の使用料をいただいています。)
飲食接待費には会葬礼状や会葬御礼品が含まれます。しかし、家族や親族といった近親者だけが参列する場合、その関係によっては会葬礼状や会葬御礼品は用意しないこともあります。
また葬儀に宗教者を呼ぶ場合には、宗教者へ謝礼として支払う費用がかかります。たとえば仏式の葬儀の場合はお布施が必要になります。お布施の金額は寺院との関係や宗教・宗派、戒名の位によって異なります。
また、お車代、御膳料としてそれぞれ約1万~2万円を渡すのが一般的です。もし宗教者は呼ばない「無宗教葬儀」として執り行う場合は、この宗教者への費用はかかりません。ただし菩提寺がある場合、無宗教葬儀を執り行うには事前に相談が必要です。
家族葬にかかるお布施については、下記で詳しく解説しています。
4 10人程度の家族葬の費用を抑える方法
家族葬は一般的な葬儀よりも費用を抑えられる傾向にありながら、10人程度の参列者で執り行うとしても約100万円がかかる可能性があります。10人程度の家族葬にかかる費用を抑えるには次のような方法を検討してみましょう。
- ● 無宗教葬儀で執り行う
- ● 複数の葬儀社に見積もりを依頼する
- ● 飲食接待費をかけない
- ● 補助制度を利用する
4-1 無宗教葬で執り行う
一般的に日本における葬儀は仏式で執り行われます。一方、無宗教葬儀であれば、宗教者へ支払う費用(お布施)が発生しません。そのため、仏式などで執り行う家族葬よりも、宗教的な儀式によらない無宗教葬儀の方が費用を抑えられるでしょう。
しかし、菩提寺が有り、納骨先が寺院が管理している墓地である場合は、注意が必要です。菩提寺の僧侶を呼ばずに無宗教葬儀を執り行うと、納骨の時にトラブルになる場合があります。何らかの理由で無宗教葬儀として執り行いたいという希望がある場合は、事前に菩提寺へ相談しましょう。また、宗教によらない葬儀をするということは、その後の供養についての拠り所が無いということにもなります。葬儀の行い方は、費用だけでなく、その後の供養についても考えたうえで、ご家族でよく相談をしましょう。
無宗教葬儀については、下記で詳しく解説しています。
4-2 複数の葬儀社に見積もりを依頼する
家族葬にかかる費用を抑えるには、複数の葬儀社に見積もりを依頼しましょう。見積もり依頼が1社だけでは、他の葬儀社がどれだけの費用でどのようなサービスを提供しているかが判断できません。複数社に見積もりを依頼して精査することで、費用を抑えられる可能性もあります。
注意すべきなのが費用ばかりに注目しないという点です。金額を抑えることばかりを意識してしまうと、故人や家族が希望する葬儀が行えない可能性があります。
しかし、亡くなってから複数の葬儀社に見積もりを依頼するのは、時間的にも精神的にも負担が大きいため実際には困難です。複数の葬儀社に見積もりを依頼したいと考える場合には、葬儀の事前相談サービスを利用するとよいでしょう。
くらしの友では、事前のご相談や見積を無料で承ります。
4-3 飲食接待費をかけない
飲食接待費をかけないことも、家族葬の費用を抑えるポイントです。例えば、先述のとおり家族だけが参列するのであれば、参列に対する御礼である会葬礼状や会葬御礼品などは不要です。また、10人ほどの参列者であれば、会食は行わずに帰りに折詰を渡す方法をとれば、飲み物の費用は省くことができます。
人数によって葬儀にかかる料金に影響が大きいのが、この飲食接待費の部分ですので、参列者を限定することで、かかる費用を抑えられます。
4-4 補助制度を利用する
自治体や保険組合から給付される補助制度を利用することで、家族葬の費用負担を軽減可能です。故人が国民健康保険に加入していた場合、自治体ごとの設定に応じた葬祭費が葬儀を執り行った家族に給付されます。例えば、東京都渋谷区であれば7万円が葬祭費として受け取り可能です(※)。
故人が社会保険や各共済組合に加入していたのであれば、埋葬を行った家族に埋葬料が支払われます。例えば、協会けんぽであれば支給される埋葬料は5万円です(※)。
補助制度ついては、下記で詳しく解説しています。
申請しないともらえない?葬儀費用に関する公的な補助金、助成金制度
※参考:全国健康保険協会. 「ご本人・ご家族が亡くなったとき」. “加入者が亡くなったときは、埋葬を行う人に埋葬料または埋葬費が支給されます。
5 10人程度の家族葬を行う際の注意事項
10人程度の家族葬を行う際は、費用だけでなく次のような注意事項も把握しておきましょう。
- ● プランによっては追加料金が必要
- ● 家族葬には厳密な定義がない
- ● 事前に家族や親しい親族の了承を得る
- ● 訃報を伝えずトラブルになることも
5-1 プランによっては追加料金が必要
家族葬には、葬儀社のプランによって追加料金が発生することがあります。例えば、祭壇や葬祭用品のグレードを高めようとしたことで追加料金が発生するケースがあります。
家族葬プランの費用が安価に設定されている場合、対応できる項目を最小限にとどめている可能性があるので、注意が必要です。
くらしの友の家族葬プランについては下記で詳しく解説しています。
5-2 家族葬には厳密な定義がない
前述のように家族葬には厳密な定義が存在しないので、葬儀社によって家族葬についての捉え方に差があります。そのため抽象的に「家族葬にしたい」と伝えるのではなく「親族や友人は呼ばずに、家族10人のみで静かに見送りたい。通夜に菩提寺の僧侶を呼ぶ予定」などといったように具体的な希望を葬儀会社に伝えましょう。
5-3 事前に家族や親しい親族の了承を得る
家族葬を執り行うのであれば、事前に家族や親しい親族の了承を得ておくことが大切です。中には、会社関係や近所の方なども葬儀に参列してほしいと考えている親族もいるかもしれません。喪主や家族だけで決めてしまうとトラブルになりかねません。「参列者は10人のみ」といったように人数を絞ると参列できない人も出てくるため、事前に了承を得ておきましょう。
5-4 訃報を伝えずトラブルになることも
家族葬に参列しない人に対して、訃報を伝えないでいるとトラブルになりかねません。とくに親族には、葬儀前に訃報は伝えることをおすすめします。その他、関係のあった人たちにも、トラブルを防ぐために、葬儀後には訃報とともに家族葬として身内のみで執り行ったことを伝えましょう。
家族葬でトラブルを発生させないための注意点は、下記で詳しく解説しています。
6 家族葬は費用以外の点にも着目しよう
家族葬に具体的な定義や参列者の人数制限はありません。家族葬は一般的な葬儀に比べて費用を抑えられる傾向にあります。しかし、費用のみを重視して葬儀プランを選択してしまうと、故人や家族が希望する葬儀が執り行えないかもしれません。家族葬は費用だけでなく、プラン内容の確認や、家族・親族の了承を得ておくことが大切です。
くらしの友では、家族葬に関するさまざまな相談を承っています。参列者を絞った小規模な家族葬をご検討の方は、ぜひご相談ください。