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家族葬をお知らせするあいさつ状例文 書き方から注意するポイントまで解説
/(株)くらしの友 商事本部
東京都23区エリアを中心に、法事や葬儀などの施行業務を担当。法事・法要・仏壇や位牌のほか、墓地や墓石など、先祖供養に関連するさまざまな知識をもつエキスパート。
家族葬は故人の家族や親族、親しい友人など限られた参列者のみで行うため、故人との最後の時間をゆっくりと過ごせるというメリットがあります。しかし家族葬の場合は参列できる人が限定されるため、参列しなかった人に対しては、葬儀を終えたことを報告する必要があります。この報告の際に用いられるのが、あいさつ状です。
この記事では、家族葬におけるあいさつ状の書き方や例文などを解説します。
この記事で分かること
- あいさつ状には亡くなったことや家族葬を行ったことを記す
- あいさつ状を作成する際は、句読点や一字下げなどを避ける
- あいさつ状を送るタイミングは宗教・宗派によって異なる
目次
1 家族葬のあいさつ状とは
一般的な葬儀では葬儀前後に以下の書状を送付します。
- ● 案内状:葬儀前に訃報と葬儀の日時や場所、葬儀形式を記載して送る
- ● お礼状:お礼を伝える意味で葬儀後に送る
一方、家族葬では、あいさつ状では、お通夜や告別式に呼ばなかった人に対して、故人の訃報とすでに家族葬を執り行ったことを報告する書状を送付します。
家族葬は故人の家族や親族、親しい友人など、参列者が限られます。事前に電話や口頭で家族葬を執り行うことを伝えるのが一般的ですが、参列をお断りしたい人に対しては、事後報告としてあいさつ状を送付することがあります。
あいさつ状は葉書に縦書きで記載するのが一般的です。文章は印刷もしくは手書きで記載しますが、後者の方がより丁寧な印象を与えられるでしょう。手書きで作成する際は、毛筆か筆ペンを用います。
2 家族葬をお知らせするあいさつ状の例文
ここからは、あいさつ状で家族葬を行ったことを知らせる際の例文を紹介します。
なお、あいさつ状で故人の名前を記載する際は、名前の最後に「儀」と付け加えます。「儀」は「~について、~に関わる」という意味の謙譲表現です。
2-1 簡潔に記載する場合
あいさつ状を簡潔に記載する場合の例文は次のとおりです。
父 〇〇〇〇儀 去る〇月〇日に永眠しました
故人の生前の意向により葬儀は近親者のみで執り行いました
なお誠に勝手ながら香典、供花、供物につきましては故人の遺志により辞退しております
生前中賜りましたご高配につきまして厚くお礼申し上げます
令和〇年〇月〇日
○○県〇〇区〇〇〇
喪主 〇〇〇
簡潔なあいさつ状の場合は最小限の情報のみにとどめ、それ以外のことは直接会った際に伝えましょう。
2-2 長めに記載する場合
あいさつ状を長めに記載する場合の例文は次のとおりです。
母 〇〇〇〇儀 かねてより病気療養中のところ薬石効なく〇月〇〇日にて永眠しました
謹んでご通知します
早速お知らせ申し上げるべきところでございましたが
故人の生前の意向により葬儀は近親者のみで執り行いました
お知らせが遅れたことを心よりお詫び申し上げます
故人が生前中賜りましたご高配につきまして厚くお礼申し上げます
令和〇年〇月〇日
○○県〇〇〇〇
喪主 〇〇〇〇
また四十九日法要、納骨まで終えている場合は、その旨も記載しましょう。
3 家族葬をお知らせするあいさつ状を書く際のポイント
あいさつ状を書く際はルールやマナー、記載する内容など、次で紹介するいくつかのポイントを押さえておきましょう。
3-1 ルール・マナーを守って書く
家族葬のあいさつ状を作成する際は、ルールやマナーを守ることが大切です。家族葬のあいさつ状作成にあたってのルールやマナーは次のとおりです。
- ● 句読点を使用しない
- ● 行頭を一字下げしない
- ● 時候のあいさつを用いない
- ● 忌み言葉や重ね言葉を避ける
- ● 宗教に配慮した言葉を使う
- ● 「逝去」という表現は使用しない
- ● 書き間違った場合は修正せずに書き直す
もともと句読点、行頭の一字下げは、文章を読みやすくすることが目的で、子どもに対して用いられる手法でした。そのため、相手への敬意を示すには句読点、行頭の一字下げは不要と考えられています。
また時候のあいさつが不要という点も、葬儀のあいさつ状の特徴でしょう。相手に敬意を示す拝啓や敬具なども用いないのが一般的です。
さらに言葉遣いについては、不幸を連想させる忌み言葉や、不幸が続くことを連想させる重ね言葉の使用は避けましょう。「逝去」という表現は尊敬語であるため、家族や親族といった身内には用いません。
もう一つ注意したいのは、宗教によって用いない言葉があるという点です。例えば「成仏」「供養」は仏教のみで使用する言葉であるため、それ以外の宗教である場合は使わないように注意してください。
家族や親族が亡くなった際の伝え方については、下記記事でも詳しく解説しています。
3-2 故人が亡くなったことを伝える
あいさつ状では、まず故人が亡くなったことを伝えます。送り主との関係性を記載した上で、亡くなった日付とともに記載しましょう。なお、老衰や病気以外の理由で亡くなった場合は、理由を記載しなくても問題ありません。
3-3 家族葬として執り行ったことを記載する
家族葬は一般の葬儀よりも参列者が限られます。本当は参列したかったと思う方もいるかもしれません。そのため、葬儀に呼ばなかった人に対して、あいさつ状で報告をします。家族葬を選んだことについては、故人や遺族の遺志である旨を記載することで、参列できなかった人も納得してくれるでしょう。
3-4 香典・供物などを辞退したい場合
一般的な葬儀では参列者が香典や供物、供花を持参します。しかし、家族葬ではこれらを辞退するケースもあります。理由としては、参列者の負担軽減や、香典返しの負担軽減、故人の遺志などが挙げられます。
香典などを辞退するのであれば、あいさつ状にその旨を記載しておきましょう。また弔問をお断りしたい場合も、記載しておきましょう。
3-5 生前にお世話になったお礼をする
あいさつ状は、生前に故人がお世話になったことへのお礼で文章を締めます。生前に受けた厚意に対して、感謝の言葉を記しましょう。
3-6 日付・喪主の住所・名前を添える
あいさつ状の終わりには、日付と喪主の住所、名前を添えます。先述のとおり、あいさつ状は縦書きで作成するのがマナーです。そのため、数字は漢数字を用いるのが一般的です。また、日付は西暦ではなく和暦(元号)を用いましょう。
4 家族葬をお知らせするあいさつ状を送る時期
あいさつ状は、宗教や宗派によって送る時期が異なります。以下で宗教ごとの決まりを見ていきましょう。
4-1 仏教の場合
仏式で家族葬を執り行った場合、一般的には四十九日法要を終えた忌明けのタイミングがあいさつ状を送る目安です。忌明け以降は、1カ月以内にあいさつ状を送るようにしましょう。
4-2 神道の場合
神道では、五十日祭を終えた後が忌明けとされます。五十日祭とは故人が亡くなってから50日目に行われる儀式です。神式で家族葬を執り行ったのであれば、五十日祭を終えてから1カ月以内にあいさつ状を送りましょう。
4-3 キリスト教の場合
キリスト教においては忌明けという考え方がありません。そのためプロテスタントの場合は、故人を追悼する儀式である召天記念日(亡くなってから1カ月後)、カトリックの場合は追悼ミサ(亡くなってから30日目)を目安にあいさつ状を送ることが一般的です。
5 家族葬をお知らせするあいさつ状と喪中はがきの違い
あいさつ状を送付する目的は、家族葬を終えたことや香典の辞退などを伝えることです。一方の喪中はがきは、喪に服しているため、慶事である新年のあいさつを控える旨を伝えることが目的です。
ただし、喪中はがきを送る時期である11月下旬から12月上旬に忌明けを迎えるのであれば、あいさつ状としてまとめて送ることもあります。
喪中はがきの出し方やマナーについては、下記記事で詳しく解説しています。
6 電話・メールで家族葬の事後報告をするタイミング
あいさつ状を送る余裕がない場合や、忌明けを待たずに知らせたい場合は、電話やメールで家族葬を執り行った旨を報告しても良いでしょう。電話・メールで事後報告するタイミングは、葬儀を終えてから1週間から2週間の間が一般的です。報告が遅れた場合でも、四十九日までには終えておくことが理想とされています。
なお家族葬を終えたことを事後報告してから四十九日までの間は、弔問客が自宅に訪れる可能性があります。そのため、返礼品やお菓子の準備、家の掃除などをして、弔問客を迎える体制を整えておきましょう。
7 電話・メールで家族葬の事後報告をする際の内容を解説
電話やメールで家族葬を事後報告する際は、あいさつ状と同じく次のような内容を伝えましょう。
- ● 故人が亡くなったこと、亡くなった日付
- ● 家族葬を行ったこと
- ● 事後報告になったことへの謝罪
- ● 生前の厚意に対する感謝
弔問や香典を断るのであれば、その旨も内容に含めます。
7-1 メールで事後報告をする際の注意点
メールで事後報告する際は、あいさつ状と同様に、句読点や一字下げの使用、忌み言葉などに注意しましょう。また、文章を作成した日付も記載しておくことがポイントです。
8 【弔問側】家族葬の報告を受けたときの対処法とは?
葬儀後に遺族からあいさつ状を受け取り、家族葬で執り行ったことを知った場合は、電話やメールでお悔みをお伝えしましょう。
その際に弔問に行く旨が伝えられなかった場合は、改めて予定日を伝え弔問可能か確認するとよいでしょう。
葬儀後に弔問することも可能ですが、事前に故人の家族に弔問してもよいかどうか確認します。訪問する日時などは、家族の都合を最優先にしましょう。また、弔問の際は喪服ではなく平服を着用するのがマナーです。
弔問時のマナーについては、下記記事で詳しく紹介しています。
9 家族葬の報告はマナーに沿って行う
家族葬を行う場合は、葬儀に呼ばなかった人に対して、あいさつ状を送付することがあります。あいさつ状を作成する際は句読点や一字下げ、忌み言葉の使用を避けるといったマナーを守りましょう。またあいさつ状を送付するタイミングは、仏式であれば四十九日明け、神式であれば五十日祭を終えた後、プロテスタントでは召天記念日、カトリックでは追悼ミサが終わった後が目安です。
くらしの友では、葬儀にまつわる手配について、さまざまなサポートを行っています。あいさつ状の作成をはじめ、家族葬に関する疑問や不安な点があれば、くらしの友にお気軽にご相談ください。